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夏 一太 ③

あれから東とは会っていない。 あの後から何事もなかったように東京での出来事を綴った連絡がくる。 一太はあの日のことをもう一度聞きたかった。 本当にあれは冗談だったのか。 正直、あのキスがふざけたものには感じなかったからだ。 熱くて、そして強いキスだった。 息が出来なかった。 一太はあの日のことを思い出すと、どうしてもドキドキとしてしまう。 わかっていた。 東に向けた感情がなんだったのか。 それでも友情ということにしておきたかった。 しなくてはと思っていた。 なのに、あんなことをされては決心が揺らいでしまう。 一太は夏休みが楽しみなような、不安なような気持ちになった。 聞けるだろうか、あの日のことを。 東の気持ちを。 聞けたなら自分はどうするのだろう。 自分の気持ちに素直になれるだろうか。

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