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夏 東 ③
これは東の中では賭けだった。
鈴花のことをきっと好きになれる。
今だって鈴花のことは好きだ。
この好きが特別なものに変わればいい。
それからすぐ仲間内に鈴花と付き合うことになったことを報告した。
みんな祝福してくれた。鈴花も嬉しそうだった。
「東、一緒に帰ろ!」
鈴花が駆け寄ってきた。
今までは数人で帰っていた下校も鈴花と二人になった。みんな気を使ってくれる。
鈴花が少し遠慮がちに東の隣に並んだ。
明るい笑顔で話しかけてくれる。
「あの、手繋いで良い?」
鈴花が顔を赤らめながら聞いてきた。
「もちろん、ごめん、俺から言えば良かった!」
東はそう言うと手を差し出し鈴花の手を優しく握った。
鈴花は嬉しそうに東を見上げた。
「ふふ、本当に東は私の彼氏なんだ。嬉しい。夏休み、いっぱい遊ぼうね!」
「うん、楽しみだな」
大丈夫、鈴花は可愛い。鈴花と付き合うことが楽しみになってきた。
これなら遠見と一太にだって、会えるはずだ。
それから程なくして東は遠見に返事をした。
『返事遅れてごめん。遠見達が来る日は予定空けるよ!友達にも声かけておく!』
遠見に彼女ができたことを報告しようか迷った。
しかし止めておいた。
わざわざ言わなくてもいいかな。
そんな風に思いつつも、本当は一太に直接その事を報告したい、一太がどんな顔をするのか見てみたい、そんな気持ちがあったからだった。
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