それから七人は渋谷の街を歩いたり、焼き肉を食べたり、原宿へ移動してプリクラを撮ったりした。 東京の五人はさすが東の友達なだけあって、人当たりがよく色々と話しかけてくれる。 遠見だけでなく一太もお昼頃にはだいぶ慣れて、緊張せず話せるようになった。 しかし一太はあまり東とは話さないようにしていた。 恐らく彼女の話を聞くのが怖いのだろう。 東も鈴花と一緒にいることが多くあまり遠見や一太とは話さなかった。 「せっかくだし東京来たからにはスカイツリー行っちゃう？なにげに俺ら誰もまだ行ったことないんだよね」 原宿で過ごした後、針崎が提案してきた。 「東京住んでると逆に行かないってやつ？」 遠見が聞く。 「そ、高いしさ。でもせっかくだからこの機会に！記念記念！みんなどう？」 針崎がそう言うと、みんな乗り気で頷いた。 それからスカイツリーに行くために移動することになった。 気が付くと東は鈴花と自然に手を繋いでいた。 一太もそれに気がついている。 遠見は一太の肩にポンと腕を回した。 「何？」 一太が少し驚いて遠見を見た。 「別に、ちょっと疲れてきたから肩貸してもらおうと思って」 遠見はニコッとした。 「俺達、今日だけで地元で一年かけて会う人数の人間に会ってそうじゃない？」 「はは！確かに！俺こんなに人いるの初めて見た、すごいな東京」 一太が笑った。 「ね、俺達の町の狭さを実感するよ」 遠見は一太の肩に手を回したまま話続ける。 それを見ていた光希が言った。 「あはは、二人とも仲良いねー！暑くない？！」 「大丈夫、梓体温低いからちょうど良いよね？」 「いや、俺はちょっと暑い」 「えー。ほら、冷たいやつだろ？」 「あはは！何それー！」 光希が二人のやりとに声を上げて笑う。 遠見はその様子を東が見ていることを確認した。 東の目に俺達はどう映ってる？ 遠見は心の中で小さく笑った。 東はあからさまに鈴花と仲良くしているように見える。 まるで一太に見せつけるように。 一太が少し寂しそうにしているのを東は気づいてるはずだ。 だって子どもの頃からずっと一緒だったのだから。 一太の変化にすぐに気づくのは東だったのだから。 でもきっと今は楽しんでいるのだろう、自分のことで一太が寂しがっていることを。 遠見からしたらありがたいことだ。 もっと、もっと梓を傷つけてくれ、そしたら後はこっちで梓を慰めるから。