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冬 遠見 ①

遠見は自分の部屋のカレンダーをぼんやりと眺めた。 三学期が短くて良かった。 三学期さえ乗りきれば三年生は文系と理系で分かれての選択授業になる。 クラスは同じままだが、一太は文系だからあまり会う機会はないだろう。 あの日から四日たった。 明日から学校が始まる。 一太からも東からも連絡は特にない。 もちろん遠見からもしていない。 もう終わったことだ。 明日からは何もなかったようなふりをして過ごせばいい。 いきなり一太を避けるのは周りから見ても不自然だから、あくまで学校では今まで通りでいようと思っている。 一太さえ良ければだが。 今日はやけに冷える日だな、そう思って窓の外を見ると埃のような小さな雪が落ちてきていた。 明日積もって学校がなくなればいいのに・・でもこの雪ではそうはならないだろう。 わかっていた。 きっとどこかで綻ぶだろうと。 その日が来るまでは、何も考えず一太と過ごしたかった。 しかし結局は、遠くても消えない東の存在、そして嘘をついた自分と何も知らず隣にいる一太の笑顔がずっと心の奥に重しのようにのしかかっていた。 これでは本当の幸せとは言えない。 心が晴れやかな気持ちにはなれない。 もしかしたら、心の底ではいつかバレる日がくることを望んでいたのかもしれない。 自分では言い出せなかったから・・ 一太からクリスマスにもらったペンケース。 明日から使うつもりだったがやめておこう。 そう思って引き出しに入れようとした時だった。 遠見の携帯が振動した。 遠見は画面に出た名前を見てドキリとした。

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