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第10話
それから、みんなと合流。
相変わらず距離は保たれたままだったけれど……それでも、何となく蟠 りは消えていて。
また以前のように、少しずつ元に戻れるものだと信じていた。
「やっぱ最後は、観覧車だよな!」
東生の提案に乗ったみんなが、観覧車前へと移動する。
ゆっくりと回るゴンドラ。
そこにオレンジ色の夕陽が差し、昼間とはまた違った顔を見せる。
「……なぁ、二グループに分かれて乗らねぇ?」
「──!」
東生の発言に、驚く。
愛咲と真奈美が「いいね!」とはしゃぐ中、僕は隣に立つ樹をチラリと覗き見た。
少し、困惑した表情。僕と瞳が合った瞬間、誤魔化すように笑みを作って返す。
「じゃあ、グーかパーな」
東生の仕切りで、グーパーじゃんけんをする事に。
せーの、で出た答えは……
「やったぁ。愛咲、愛月と一緒だぁ!」
感極まった声を上げ、はしゃぐ愛咲が僕の腕に絡み付く。
「……や、やめろって!」
「あ、もしかして照れてる?……もぉ愛月、可愛いすぎぃっ!……よしよぉーし」
背の低い僕の頭を、ムツゴロウ並にわしゃわしゃとしてくる。
……ああもう。
こういう所、樹に見られたくないのに。
ちらりと樹を見れば、三人で輪になって会話を弾ませていた。
「……」
樹と真奈美が一緒か。
でも、東生もいるから………大丈夫だよね。
二人の仲良さそうな姿を見せつけられていた僕は、不安を感じつつ愛咲と同じゴンドラに乗り込んだ。
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