10 / 15

第10話

それから、みんなと合流。 相変わらず距離は保たれたままだったけれど……それでも、何となく(わだかま)りは消えていて。 また以前のように、少しずつ元に戻れるものだと信じていた。 「やっぱ最後は、観覧車だよな!」 東生の提案に乗ったみんなが、観覧車前へと移動する。 ゆっくりと回るゴンドラ。 そこにオレンジ色の夕陽が差し、昼間とはまた違った顔を見せる。 「……なぁ、二グループに分かれて乗らねぇ?」 「──!」 東生の発言に、驚く。 愛咲と真奈美が「いいね!」とはしゃぐ中、僕は隣に立つ樹をチラリと覗き見た。 少し、困惑した表情。僕と瞳が合った瞬間、誤魔化すように笑みを作って返す。 「じゃあ、グーかパーな」 東生の仕切りで、グーパーじゃんけんをする事に。 せーの、で出た答えは…… 「やったぁ。愛咲、愛月と一緒だぁ!」 感極まった声を上げ、はしゃぐ愛咲が僕の腕に絡み付く。 「……や、やめろって!」 「あ、もしかして照れてる?……もぉ愛月、可愛いすぎぃっ!……よしよぉーし」 背の低い僕の頭を、ムツゴロウ並にわしゃわしゃとしてくる。 ……ああもう。 こういう所、樹に見られたくないのに。 ちらりと樹を見れば、三人で輪になって会話を弾ませていた。 「……」 樹と真奈美が一緒か。 でも、東生もいるから………大丈夫だよね。 二人の仲良さそうな姿を見せつけられていた僕は、不安を感じつつ愛咲と同じゴンドラに乗り込んだ。

ともだちにシェアしよう!