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第二戦②
俺はまた何とはなしに自身の腹を撫でる、なんか最近これ癖になってるみたいで特に意味もなかったのだけど、ロゼッタさんが少し小首を傾げて「昨日も思ったのだけど、君、腹具合でも悪いのかい?」と少し心配そうな表情を見せた。
「あ、今日は別にそれ程でもないんで大丈夫です」
「身体は大事にしないといけないよ、君は見た感じ少し貧弱そうに見える。身体を充分に鍛えておかないと丈夫な子供は生めないんだ。それに子育ては体力勝負だと母上は常々言っている、体力作りは大事だよ」
ロゼッタさんがキラキラの笑顔でそんな事を言うのだけど、えっと……もしかしてロゼッタさんのその素晴らしい筋肉は子育ての為に鍛えられたものなのかな? 母親もあんな感じだもんね、その教育方針分からなくもない。だけどちょっと笑っちゃう。ついでにロゼッタさん滅茶苦茶良い人だな。まさか俺の心配までしてくれるとは思わなかったよ。
「ありがとうございます、ロゼッタさん。俺も頑張って体力付けます!」
「ふふ、だけどライザックは譲らないよ?」
「そこは俺も譲れないので、ごめんなさい」
ロゼッタさんがまた白い歯を見せてにっこり笑う。
「こうやって彼を本気で好きになる人が何人もいるという事は、それくらい彼が魅力的だという事だ。やはり私の目に狂いはなかったな。正妻の座は譲れないけど私は君とも仲良くなれそうな気がするんだよ」
「え……」
「同じ人を好きになった者同士、打ち解け合う事は出来ると思うのだよ。現にうちの母は父のたくさんいる妾の人達とも仲良しだ」
そういえばオーランドルフ家の当主は気に入った男に片端から手を出すような事をライザックは言ってたよな。ローズさんやロゼッタさんのキャラクターが濃すぎてそんな事頭から吹っ飛んでたけど。
「ほら、あそこで皆応援してくれている」
ロゼッタさんが笑顔で手を振った先、そこには強面のガチムチが並んでこちらを睨んでいる。いや、怖い怖い怖い。なんか数増えてない!? 一体お妾さん何人いるの!? あれじゃあちょっとした兵団じゃん!
「皆すごく良い人達だよ……って、どうしたの? 変な顔して?」
「はは、皆仲が良くて結構ですね……」
言葉が完全に棒読みになってしまった。ロゼッタさんは良い人っぽいけど、取り巻き連中が怖すぎるよっ!!
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