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第23話
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「あ……っ__キルーガ、それにルー君も……良かった。それと、ごめん……二人共。ちょっと――いや、かなり買い物に夢中になりすぎたよ……二人は、今まで何処にいたの?」
「え……っと……」
ノスティアードと再会できたことに安堵しながらも、ふいに彼から問われてしまい、三人の《ウ・リガ人》のことについて話すか否か迷ってしまう。
もしも、彼らが《王都広場》にきたと想定してみた時にイ・ピルマの王子であるノスティアードに危害を加えるかもしれないという不安が頭をよぎったのと、せっかく《王都市場》に来て楽しんでいる彼の気分を台無しにしてしまうと思ったからだ。
(でも……本当のことを言ったら……ノスティアード様に心配をかけてしまう……いや、やはりウ・リガ人がここにいた事を言うのが正解なんだろう……っ__)
ルベリアが意を決して《三人のウ・リガ人》がこの地に降り立っていたという事を告げようと口を開きかけた時に傍らにいたキルーガがそれを阻止するかのように身を乗り出した。
「ノスティアード様……実は――あなた様とはぐれてしまった後、私の勝手な判断にてルベリア様と共に彼方の方の出店の方を探していたのです……はぐれてしまった、あなた様を探すという事情があったとはいえ、あろうことか……あなた様の婚約者であるルベリア様を連れ回すなどという恐れ多いことをしてしまいました……どうか、こちを罰して下さいませ」
キルーガは何も悪くなく、尚且つ《ウ・リガ人の男達》から襲われそうになったというピンチに陥ったルベリアを救ってくれたというのに、それを言い出せないルベリアを庇う言動をとる彼の顔を呆気にとられつつ少し遠慮がちに見つめた。
キルーガの顔には、一切の迷いや狼狽の色が見えず――ひたすら真っ直ぐに真剣な目付きで己の主人に面と向かって謝罪しているのだ。
「…………」
迷いのないキルーガの表情を見て、出会ったばかりの最初の頃は何を考えているか分からず苦手意識を感じてしまっていたルベリアだったが、ここにきて彼に対して憧れにもよく似た感情を抱いてしまうのだった。
ちなみに、ノスティアードは「キルーガ、君に対しての罰は今日の晩ご飯ぬき!!」などと、まるで兄が弟をからかうかのようにケラケラと笑いながら冗談まじりに答えていた。
そのような反応を示すということは、従者であるキルーガが勝手に婚約者である己を連れ回したということなど、特には気にしていなかったのだろうとルベリアは判断した。
それと同時に、ふとある疑問が思い浮かぶ。
(ノスティアード様は……心の底から僕を愛して下さっているのだろうか……いや、それを言うのなら……僕こそ心の底からノスティアード様を……真に愛しているんだろうか……)
などと、今考えた所でどうにもならないようなことを思い浮かべた時のことだった。
唐突に、パンッ____と空に何かが弾ける音がしてルベリア達はほぼ同じタイミングで音のした方を見上げるのだった。
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