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第2話 桃尻におまえのお汁をくださいな
『ひとり旅だとおまえの桃尻が欲求不満になるから、ステキな仲間を呼んでおいたぞ。立派なブツの持ち主だから安心せい!』
「……と、おじいさんは言っていたけれど、俺、おじいさんとしかしたことないよ。不安だなあ」
翌日。旅支度を整えた俺は、港まで歩いた。おじいさんの言葉を思い出し、ひとりごとを言いながら。
おじいさんは、途中で仲間が合流するはずだって言っていた。
でも、いないんですけどー!?
歩いているうちに俺はムラムラしてきた。道の端にある平たくて大きな岩の上に座った。
「はあ、はあ……おじいさん。ごめんなさい。俺、もう力尽きちゃったよぉ。せっかくお祝いをしてくれたのに……全然、足りないよおおぉぉ!!」
今朝。おじいさんが初陣のお祝いをしてくれたんだ。
「うぉっほん! いまから、祝いの交わりをしよう」
「交わりって?」
「う!? そうじゃのう……特訓と似たような、いや……同じことじゃ」
「わーい!! またおじいさんに抱っこしてもらえるんだ! おじいさん、たくさんお汁ちょうだいね!」
「はっはっは! ももたろうは欲しがり坊やじゃのう。どれ、今日は家のなかでするとしよう。おまえがいないあいだ、おまえのお汁の臭いで癒され鼻をクンクンさせながら、息子弄りがしたいのじゃ」
「おじいさん、息子弄りってなに?」
「ごほん! ごほん! おまえは知らなくていいんじゃ!」
「そうなの?」
「さよう。このじじいのように、相手がいないときにするむなしい技なのじゃ。ももたろう、おまえはまだ若い。相手はよりどりみどりじゃ。おまえの桃尻が求めるままに、お汁を放出させるがよい……」
それから、おじいさんのお汁をいっぱいもらった。接吻も数え切れないくらいした。
あんなに、あんなにたくさんお祝いしてくれたのに! すぐに物足りなくなるなんて!
俺は、なんて贅沢な欲しがりももたろうなんだ!
「どうしよう。身体が疼くよ……このまま野宿して、山賊にいただかれたらスッキリするかな? いや、落ち着け、ももたろう! でも、興奮がおさまんないよー!!」
そのときだ。
近くの草むらが、ガサガサっと揺れた。
「やや、山賊か!? お願いだ、ひと肌脱いでくれ! 俺の乾いた桃尻に、おまえのお汁を注いでくれ!」
「はぁ? ももたろうが誘い受けなんて、聞いてねーぞ。あのじいさん、どういう性教育を仕込んだんだよ」
「おまえは!?」
黒い着物を着た、鋭い目つきをした若い男だった。しっかりした体つきからして、俺より十歳ほど上……たぶん二十代半ばくらいだろう。
俺が驚いたのは、男の頭から獣の耳が生えていたからだ。
「なに、ジロジロ見てんだよ。ケモ耳が生えてるから、わかるだろ? 俺はイヌだよ」
「イヌ!? 俺、知ってる! 絵本で見たことある。首輪をつけられて、飼い主の言うことを聞くんでしょ?」
「ああぁん!? そういう奴隷スタイル、俺はやんねーよ! むしろ、俺が言うこと聞いてもらいたいね!」
「それ、イヌじゃないよ!」
「いいんだよ、世界観にのっとってりゃな。とりあえずお汁をぶっぱなしておけば、この話は成り立つんだよ! ところでさ、ももたろうさんよぉ……?」
男……じゃなかった、イヌは俺の股間を指差した。
「桃尻を潤したいんだろ? 枯れたじいさんよりも、クラクラする極楽を俺が見せてやるぜ?」
「やった、ありがとう!」
俺はすぐに立ち上がった。その勢いで、着物の裾がはだける。
「おいおい。ふんどしも履いてねーのかよ!?」
「うん。桃尻はいつでも人目に晒すと艶々になるって、おじいさんが教えてくれたんだ」
「やっぱ、じいさんの性教育は誘い受けだな」
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