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第15話 おまえ、やっぱかわいいっ!
鬼が気絶しているあいだに、俺たちは洞窟を脱出した。海岸まで走る。まだ渡し船は来ていない。
「やったな、ももたろう!!」
「俺たち、倒しちゃったね!!」
イヌが俺を抱き上げる。俺はイヌの両肩に手を置いた。
イヌがくるくると回転した。
「おっと」
砂に足を取られたのか、イヌがよろめく。そのまま、ふたりで砂浜に転がった。
「わりぃ、ももたろう! 金棒、意外と重かった……いまさら右腕にきた」
イヌは身体を起こして、肩を回している。俺は起き上がってイヌの右腕を揉んだ。
「ありがとう、イヌ」
イヌは左手で俺を引き寄せ、接吻した。軽く唇を重ねて、すぐに離す。
「じいさんがやってた『勤め』の話を聞いて、ひらめいたんだが……うまくいってよかったな!」
「さすが、都の深掘りワンワンだね!」
「おう! まあ、その名前もいずれ、忘れられるんだろうなあ……」
イヌは俺の両手を握った。打ち寄せる波の音しか聞こえない。
昼間の光に照らされたイヌの顔。初めて会った日よりも、さらに凛々しく見える。
出会ったときのイヌは、いきなり俺を睨んだり、挑発するように笑ったりしていたのに。
「ももたろう。俺、これからはおまえにしかお汁を注がない。この太陽に誓う。だから、ももたろう。俺の嫁さんになれ!」
俺は吹き出した。イヌのケモ耳がぴんと立っている。
イヌの自信満々な感じはずっと変わらないな。
「あはは。かっこよく誓ったのに、命令なの?」
「いいじゃねぇか! おまえが断る理由はない!」
「そうだね、まったくないね。イヌ」
俺はイヌを抱き寄せた。
初めて自分からする接吻。いつもイヌが俺にしてくれるように、舌をイヌの口のなかで動かした。散々、舌を絡ませたあと唇を離す。イヌは顔を真っ赤にして口を押さえている。
「ももたろう……接吻してくれるということは……」
「イヌ。これからよろしくお願いします」
俺が三つ指をつこうとした、そのとき。イヌが大声で笑いながら、俺を押し倒した。
「ははは! こんなにうれしいことはないぞ、ももたろう!!」
「え、イヌ? ん、ん……」
イヌは俺にくちづけをしながら、俺の着物の衿を開いた。
イヌの荒い息がくすぐったくて、俺は身をくねらせた。
「契りを交わすぞ、ももたろう。夫婦 の契りだ! 日はまだ高いが、初夜のはじまりだ!」
「イヌ、そろそろ渡し船が来るよ!? 夜までここにはいられないよ? 俺もしたいけど……」
俺たちは、きっと作戦が成功すると踏んで早めに帰りの渡し船を頼んでいたのだ。
「お、そうだったな。でも、ヤりたいからしようぜ、ももたろう! もし来ても見せつけてやる。まずは、ここの消毒だ」
イヌは俺の指を一本一本、くわえた。音を立てて吸う。それを両手に行うと、俺の両足を持ち上げた。
さっきまで着物に隠れていた桃尻が露わになる。ひんやりした海の風を感じて、俺は震えた。
イヌは俺の桃尻の丸みにそって、ていねいに舌を滑らせている。
「イヌ……これは前戯?」
「ちがう、消毒。おまえの身体から、鬼の臭いを消してやる。くそぉ、俺のももたろうにあんなにさわりやがって……」
イヌに舐められているうちに、桃尻はすっかり生温かくなった。イヌが顔を離す。
「ああ……俺、我慢できねぇ。もっと消毒したいのに」
イヌのイチモツは充分に反り返っていた。
俺も、もう待てない。俺は唾を飲み込んだ。
「イヌ、俺をいっぱい抱っこしたからわかるだろ? いつでも、すぐにおまえのお汁が欲しいんだ」
俺はイヌに向かって、両手を広げた。
「ほら、おいで。イヌ」
「ももたろう……おまえ、やっぱかわいいっ!」
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