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第16話 春画よりも激しいですね
イヌは俺をぎゅっと抱きしめた。すぐに身体を離し、俺の太ももを抱える。
「ん、ん……」
イヌのものの切っ先が俺の窄まりを突く。様子を確かめているのかな、と思った瞬間。イヌが俺の下腹部に、自分の雄刀を勢いよく押しつけた。
「あ……ん」
今朝も俺のなかを擦っていた、イヌのもの。あんなに激しく動いていたのに、力強さはおんなじだ。
「はあ、どうして、だろうな……朝にヤったときより、く、ん、すげぇ気持ちいい……ああ、あ」
「うん、ん、ああ。気持ちいいね、あ、ん」
「これが夫婦の契りって思うと、はあ、は、ちがうんだな……」
「うん……うん」
俺は揺さぶられながら、何度もうなずいた。
イヌの先走りとともに、海岸の砂が俺のなかに入ってくる。じゃりじゃりとなかで動く異物が苦しくて、俺はきつく目を閉じた。
俺のなかを突いているイヌも気づいたようだ。
「ももたろう……く。砂、痛いだろ?」
俺は目を開けると、イヌの背中に両腕を回した。
「大丈夫、あ、ああ。俺だって、早くイヌに、あ、抱っこされたかったから……あ、あぁ」
「ははは。似たもの同士だな、俺たち。ん……」
それから、イヌはいつものようにたくさんのお汁を俺にくれた。
汗にまみれた俺たちは、砂浜に重なるように横たわった。ふたりの身体には砂がまとわりついている。
「おふたりさーん。そろそろいいですかー?」
「へええぇ!? 船頭さん、ずっと見ていたのかよ!?」
イヌは、慌てて起き上がった。さっきは見せつける、なんて言っていたけれど、実際に覗かれるとは思っていなかったようだ。
俺は力が入らなくて、イヌの横でぐったりとしている。
岩場のほうに渡し船があった。俺たちとそんなに距離はない。
船に乗った若い船頭が、にやにや笑っている。
「いやあ、春画よりも激しいですね。へへへ」
「う、うるせえ! ももたろう、尻を隠せ!」
イヌは、俺の身体を起こして砂を払った。素早く俺の着物を整えてくれる。
「ありがとう、イヌ」
「ももたろう、行くか! よっと」
イヌは自分の着物を整えると、俺を抱き上げた。俺を渡し船まで運んでくれた。
「おふたりさんは仲良しですなあ」
「だから、うるせぇよ」
「うん、すっごく仲良しだよ!」
船頭の言葉に、俺はうなずいた。イヌは俺の腰を抱き寄せた。
「ははは。大物だな、ももたろうは」
「ほんとうのことなんだから、堂々としていいんだろ? イヌ」
「お、おう! そうだったな!」
俺はイヌに抱きついた。船が揺れる。
「船のなかでは、交わらないでくださいよー」
笑いながら船頭は船を漕いだ。
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