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第18話 お楽しみのはじまりじゃああぁぁ

夜になって身支度を整えた俺は、イヌが待つ部屋に向かった。 「イヌ。開けてもいいかな?」 「おう、いいぜ。……うお!?」 俺は障子を開けた。部屋では、イヌが夜着をまとってあぐらをかいていた。 イヌは俺の姿を見て、ぷるぷる震えている。顔が真っ赤だ。俺は障子を閉めると、振り返った。 「どう? 似合う、イヌ?」 「ももたろう……俺、おかしくなっちまいそう……」 俺は紅を差して、桃色の長襦袢を着ている。俺はイヌの近くへ行き、正座した。 「この透ける感じがいいな。足さばきがちらちら見えて……はあ」 イヌは息を大きく吐くと、俺をぎゅっと抱きしめた。 慣れない衣装をまとったせいか、抱きしめられるといつもよりどきどきする。 「お、そうだ。じいさんが、抱っこする前にこれを飲めって言ってたんだ」 「これ、お酒?」 「そうじゃないか?」 俺はとっくりを傾けて、イヌが持つ盃に酒を注いだ。イヌが盃に口をつける。 「俺、あんま酒を飲まないから、うまいかどうかなんてわかんねえ……ぶはあああぁぁぁ!?」 イヌが酒を吹き出した。盃が転がる。びっくりした俺は、むせるイヌの背中を撫でた。 「しっかりして! お酒、きつかった?」 「はあ、はあ。ももたろう……」 「水でも飲む、イヌ?」 「ももたろおおおぉぉぉ!!」 「うわっ」 俺は押し倒された。イヌが俺の首筋を何度も甘噛みする。 「イヌ、イヌ!? どうしたの!?」 「わかんねぇ、とにかく、いますぐ、おまえを抱っこしたい……へへへ」 イヌの鼻息が荒い。目がぎらぎらしている。ケモ耳の毛も逆立っている。 「まさか、おじいさん……」 媚薬でも入れたのか!?  ふと、ふすまの向こうから笑い声が聞こえた。 え、おじいさんが覗いている!? 「ほっほっほ。お楽しみのはじまりじゃああぁぁ……」 「ちょっと、おじいさん!」 「いかん、気づかれた!?」 おじいさんは、ふすまをぴたりと閉めた。 「ももたろう……俺を見ろよ」 「イヌ……ん、ん」 俺たちは深く接吻した。イヌの舌がいつもより熱い。 「や、ああ」 「おまえの肌、いつもより冷たいな……」 「イヌの身体があっついんだよ! ん、あ、ああ」 イヌは俺の身体に舌を這わせた。それだけで、俺の全身から汗が噴き出る。 「は!?」 突然、イヌが顔を上げた。ぶんぶんと首を振っている。 「すまねぇ、ももたろう! 俺、どうかしちまってる! 今夜は契りを交わさないほうが……」 「しよう、イヌ」 俺は胸紐を解いた。長襦袢の前を広げる。 足を開いて、膝を立てた。 「抱っこ、して? 今夜のことを思い出にしよう、イヌ?」 「ももたろう……!」 イヌは俺を乱暴に抱っこした。時折、俺に謝りながら。 「はあ、はあ。イヌ、大丈夫だから。俺の、ん、ん、桃尻は丈夫だよ、あ、あん」 「へ、そうか。それなら、もっと激しくしようかな?」 「うれしい、あ、あ」 俺たちは、夫婦の契りを翌日の昼過ぎまで交わした。

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