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「っ!」  今まで、痛みしか感じなかった体は意志とは裏腹に、僅かに感じた快楽へと縋りつこうとするけれど、嬌声を上げることだけはしたくなくて貴司は声を堪えた。 「強情だね、流されちゃえば楽なのに」  些細な抵抗を愉しむような聖一の声が、耳に響いたその途端、今度はバイブが前立腺へと当たるように固定され、更に出力を上げられてしまう。 「んんぅっ!」  思わず小さく漏れだした、甘さを帯び、鼻へと抜けるような喘ぎに、彼は笑みを深くした。 「俺の気が済むまで……二度と逃げ出そうなんて考えられないように、躾直してあげる。どうやって、あの部屋から逃げたのかは、後でゆっくり教えて貰うから」  片手でバイブを弄びながら、もう片方の掌で頬を撫でてくる彼の瞳には、深い闇が宿っていて。 「ふっ!」  前立腺への強い刺激に、段々と、痛みよりも快楽のほうを選びとってゆく自分の体が、情けなくてたまらない。ボールギャグへと歯を立てて、何とか正気を保とうとするが、それも長くは続かなかった。 「うっ!」  頬から離れた聖一の指が貴司のペニスへ触れてくる。これまで、前立腺でも愉悦を得られるように開発されてきたけれど、精神的に追いつめられているせいなのか、はたまた痛みのせいなのか、そこはまだ勃起からは程遠いような状態で。 「萎えてる。今まで優しくしてきたから、痛みには弱いのかな?」  縮こまっているペニスをなぞり、独言のように呟く声に、自分の体がそこまで反応していないことを知った貴司は、心の中で僅かに安堵の息を漏らす。前回……彼に監禁された時には、目隠しをされたうえ、毎日のように複数の男を受け入れるよう強要されたが、痛みを伴うような行為はなかったように記憶している。だけどその代わり、薬や道具を使った行為で徹底的に快楽へと堕とされた。  ――これから俺は……。 「ゔっ…ううっ!」  突如、ペニスを襲った激しい痛みに、思考を続けることが困難になった貴司は悲鳴を上げる。  ――痛い! 痛い! 「痛いよね? 苦しんでる貴司さんの顔、可愛い」  甘く囁く声と裏腹に、聖一は、ペニスを捉えている掌へと更にジワジワと力を加えた。 「んっ、ゔぅっ!」  とうとう、眦から涙が滲んで零れだす。上向きのまま、開きっぱなしにされた口腔に嚥下しきれない唾液が溜まり、息も苦しくなってきた。

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