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「ねえ、俺さぁ、こんなに頭にきたの初めてなんだけど……貴司さん、反省してる?」  声から怒気は伝わらないが、その掌は容赦なく貴司の萎えたペニスをいたぶっている。  ――反……省?  痛みに押し潰されそうになりながら、言葉の意味を理解した貴司は、ゆっくりと首を横へと振った。間違えているのは自分じゃない。それだけは譲れない。  拷問に近い痛みに耐え、それでも貴司が聖一の顔を睨むように見据えると、少しだけ目を瞠った聖一が「へぇ」と小さく呟いてから、貴司のペニスを解放した。 「痛みだけじゃ、素直になれないみたいだね」  言いながら、微笑む彼の深い瞳は、創り物のように綺麗だが無機質だ。 「少し、やり方を変えようか。貴司さんが素直に謝れるように……ね」  伸ばされた手が膝へとかかり、膝を大きく割り開かれる。 「っ!」  すぐに出力を上げたバイブの強い振動に、変な声が出そうになるが、掌を握りどうにか堪えた。 「強情」  すると、更に口角を上げた聖一が舌を出し、貴司の唇をペロリと舐める。その仕草の淫靡さに、背筋へゾワリとした感覚を覚えた貴司が、なんとか気を逸らそうとして、浅く息を吐き出した刹那、聖一が優しい手つきでペニスを撫で、それから……戸惑うことなくそれを口腔へ招き入れた。 「っ! ……うぅっ」  アナルの痛みはいつの間にか、痺れたような愉悦に変わってしまっている。ペニスを襲う痛みから、解放されて無意識に力を抜いてしまった貴司の体は、先程から続いている前立腺への刺激も相まって、驚くほど従順に快楽を貪り始めた。自分の体を知り尽くした聖一の口淫に、抗う術など有るはずもない。 「うぅ……んっ」  僅かな時間、彼の口内で弄ばれただけなのに、快楽を纏った声が鼻から抜け、形を変えた貴司のペニスは放出を求めて震えはじめた。だけど、その根本は聖一の指に戒められてしまっていて、行き場を求め渦巻く熱に飲み込まれそうになりながら、貴司の瞳はまだ完全には色を失ってしまってはいない。  ――流されたら、ダメになる。  同じ過ちを繰り返してはならないと、途切れ途切れの意識のなかで懸命に自分を戒めるけれど、それも行き過ぎた愉悦の前ではあまりに危うく儚く脆い。 「ふぅっ……んっ…んっ」  口淫と同時にアナルを塞ぐバイブを動かされ、思わず上げてしまった嬌声に、羞恥を感じた貴司の体がうっすらとピンク色に染まった。

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