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「あーあ。気を失っちゃった」
呟きながら乳首を刺した針を聖一が引き抜くと、意識のない貴司の体がビクッビクッと痙攣した。流れ出した血へ舌を這わせれば貴司の口から呻きが漏れる。
「可愛い」
乳首に開いた小さな穴へと直径ニセンチ程の丸いプラチナピアスを付けた聖一は、まるで厳粛な儀式のようにそっと尖りへ口づけを落とす。
「痛みでイッちゃったんだ」
顔を離した聖一は、貴司の腹へと付着している白濁を、指で掬って笑みを浮かべた。それから、ぐったりとした貴司のアナルへ入れたままだった自身のペニスを、数回激しく打ちつけてから己の精を中へ注ぎ込む。
「ん……うぅ」
そして、苦し気に呻く貴司を起こしてしまわぬよう、聖一はそっと優しく身体を抱きしめた。
「貴司……愛してる」
本心を垣間見せるような、切なさを纏ったその声は、本人に届くことはない。
「誰にも、渡さない」
無理矢理相手を閉じ込めるのが、倫理的に間違っていることなんて、最初から知っている。分かってはいるけど。
「逃げないで、責任取ってよ。貴方が―――から」
消え入るように紡がれた言葉。たった今、自分の手で付けたばかりの銀色のピアスへ指を伸ばし、それを弄ぶ聖一は、欲しいものを手に入れたはずなのに、それでも満たされない何かを持て余しているようだ。
「おかえり……貴司」
その耳元へと唇を寄せ、低く囁いた聖一は、自分が今にも泣きそうな……歪んだ表情をしていることに、全く気づいていなかった。
序章 終
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