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「セイ……会いに行かなくて、ごめん」
会った時から言いたかった。言わなければならないと思っていた謝罪に、聖一の体がピクリと動く。
「やっぱり……来れなかったんじゃなくて来なかったんだ。貴司さんは、俺が嫌い?」
ケーキの箱に添えられた指が僅かに震えているように見え、貴司の心がチクリと痛んだ。
「嫌いじゃない、好きだよ。だけど……」
『それは、恋愛感情とは違う』
そう続くはずだった言葉は、頬に触れられたことによって立ち消える。
「セイ?」
頬を掌で包み込まれ、驚いた貴司が目を見開くと、至近距離にある端正な顔がゆっくりこちらに近づいてきた。
「……っ!」
どうすればいいか迷った刹那、唇へ触れた柔らかい熱と視界一杯に広がった顔に、貴司の思考がピタリと止まる。そのまま、上唇を舐められて、ようやく今の状況を理解できた貴司は、聖一の胸に掌で触れてそこを押そうとするけど、手に力を込める前に唇は離れていく。
「なっ、何を……」
驚いて、それ以上の言葉が出ない。
「セイ、離し……んぅっ!」
顔を固定された状況を何とかしようと貴司が名前を呼んだ途端、まるでそれを塞ぐかのようにもう一度口を塞がれた。
「ん……ふんぅっ」
触れた瞬間、口内へと入り込んできた彼の舌に、自分のそれを絡め取られて貴司の体がビクリと震える。
「ふ……んぅ」
それは、長い時間をかけて口腔をまんべんなく蹂躙し、途中我に帰った貴司は聖一の胸を押すけれど、逞しく育った彼の体はびくりとも動かない。逃げなければと焦った貴司は、その舌へ歯を立ててみるが、噛みつくなんて出来なかったから、抵抗らしい抵抗もできずにキスを享受し続けた。
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