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「ん……ふぅっ……うっ」
もう、自分がどうなっているか分からない。一年前までまだ子供だと思っていた聖一が、今は雄の色気を身に纏い、同じ男で成人しているはずの自分が、女みたいに組み敷かれているなんて、受け入れるとは決めたけれど、こんなに激しい行為だなんて想像すらしていなかった。
「ごめん、止まんない」
キスを一旦中断させた聖一が、小さく紡いだ謝罪の言葉に、疲れ果てた貴司はそれでも何とか必死に笑みを浮かべる。
「大丈夫だよ」
彼がそう望むのならば、できる限り受け入れたいと思った貴司はそう告げるけど、体はもう限界で。
「離さない」
再び、薄い唇が深く深く犯された。
「……ふっ……んぅぅ…うぅっ」
もう息が続かないことを、どうにか彼に伝えたくて、手を伸ばそうと試みるけれど腕がピクリとも動かない。そのうちに、徐々に視界へと霞みがかかり、ゆっくりと、暗い闇へ貴司の意識は堕ちていった。
***
唇に当たる柔らかさに、貴司はゆっくり覚醒した。
「……んっ…ふ」
薄く開いた瞳へと映った聖一の表情に、僅かな違和感を抱いてしまう。
――また、夢……だ。
うたた寝は思ったよりも長い時間に及んだようで、辺りは既に暗くなり、明度を落とした照明の中、目覚めたばかりの貴司の口へと聖一がキスを落としてくる。
「ん……何時?」
「七時を少し回ったところ、夕飯ができたから」
時間なんてこの生活には何ら関係ないのだけど、癖でつい尋ねてしまう。
「分かった」
食欲は全くないが、食べない訳にもいかないから、目前にある顔を避けつつ体を起こしたその途端、足首を繋ぐ鎖が小さくカシャリと金属音を響かせて、それと同時に聖一の手がローブの袷からスッと股間へと入り込んできた。
「っ!」
「勃ってる」
下着も穿いていないため、直にペニスを掴んでくる手に初めてそこの状態を知り、貴司は思わず目を瞠る。
「触るな」
羞恥に頬を染めながら、聖一の手を掴んだ貴司が引き離そうと力を込めると、抑え込まれると思っていたのに案外すんなり離れていった。
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