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「コイツ、目がイっちゃってるよ」
口からペニスを抜いた男が下卑た笑みを浮かべながら、指を伸ばして貴司の髪へと触れようとしたその刹那。
「……何だ?」
聞こえてきた僅かな音に気づいた男が視線を向けた玄関から、カチャカチャと鍵を開けるような無機質な音が響いてきた。
「タク、玄関のチェーン閉めたか?」
「いや、閉めてない」
「やべぇよ! 早く閉めてこい。ここの合鍵持ってるのって……」
焦ったように男は命じるが、タクが玄関へ向かうよりも速くドアの開く音がした。勢い良く鳴り響く音に、冷めない熱を抱えながらも貴司はゆっくり顔を動かし、玄関へと視線を向ける。
「……」
そこにいたのは貴司が心で呼び続けた人物だった。
「何してるの?」
後ろ手にドアをカチャリと閉め、彼が発した静かだけれど冷たい声に、場の空気が凍りつく。
――セイ、なんで?
その姿を見た貴司は思わず驚きに目を見開いた。聖一が、平日にここを訪れるなんて、今まで一度もなかったから。
「んぅ」
「どうして?」と尋ねたかったが口枷が邪魔で話せない。それでも何かを感じたのか、こちらを向いた聖一の薄い唇が、ゆっくり綺麗な弧を描いた。それは、今まで貴司が見たことのない冷酷な微笑みで。
「いま取り込み中だから、出ていってくれる?」
黙ったまま靴を脱ぎ、部屋へと入ってきた聖一へと、ビデオ係をしていた男が歩み寄りながら声を掛ける。と、次の瞬間彼の体が大きく揺れ、バタリと床へ崩れ落ちた。
「てめぇっ、何してんだ!」
貴司の口を犯していた男が怒鳴り声をあげ、勢い良く聖一へと掴み掛かっていくけれど、その腕を綺麗にかわし、聖一は男の顔を容赦なく拳で殴る。骨が折れたのではないか? と思うくらいに大きな音が鳴り響き、蹲った男から呻き声が聞こえてきた。
「ちょっと待て。俺達は、頼まれただけで」
貴司の中へとペニスを挿入している男が言い訳をするが、その声も途中で「ぐぅっ」という呻きに変わり、彼は床まで飛ばされる。
「んっ……うぅ」
アナルから、ズルリとペニスが引き抜かれる感覚に、貴司の口から意志に反して小さな喘ぎが漏れてしまい、それを見た聖一の顔は、一瞬だけ切なげな影を帯びたように見えたけど、直ぐに元の笑みに戻るとベッドへと乗り上げてきた。
「大丈夫? じゃないか」
覆いかぶさってきた聖一が、そう言いながら開口具により閉じることのできなくなった唇へと指を伸ばし、そこをクルリと一撫でしてから咥内へと差し込んでくる。
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