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「んうぅ……」
歯を食いしばり過ぎて顎が痛い。自然に溢れた涙のせいで、きっと顔はぐちゃぐちゃになってしまっていることだろう。膝からカクリと崩れ落ち、俯せにシーツの上へと倒れ込んだ貴司だったが、息つく暇も与えられないまま今度は視界を覆われた。
「ぐうっ!」
間髪入れずに体を返され足を大きく割り開かれて、貴司は痛みに悲鳴を上げるがそれに答える声はない。シーツへと触れた尻が痛み、腰を浮かせてそれを逃がそうと思った貴司が動いた途端、今度は股間を打ち据えられた。
「……んぅっ!」
痛みに体が痙攣し、チカチカと白い光が舞う。浅い息を繰り返しながらも貴司が必死に耐えていると、今度は膝を紐のような物で片方ずつ括られて、そこから伸びた二本の紐が手際良く手首の紐へと繋げられた。
「んぅ……う……」
大きく割り開かれた脚は閉じることができなくなり、身体の下になってしまった腕がジンジンと痺れを訴えてかけてくる。そして、見えない恐怖に身じろぎしながら、小さな呻きを漏らす貴司のアナルへと、次の瞬間馴らしもしないで大きな異物が入ってきた。
「んっ……うぅんっ!」
――いたいっ……痛い!
メリメリと肉壁を広げながら入り込んできた塊に、貴司はのたうち逃げようとするが、侵入を拒むことはできない。
「ふっ……んんっ!」
首を激しく横へと振るたび、カシャリカシャリと首輪に繋がれた鎖の音が頭に響く。
「んうぅっ……ううっ!」
――痛い、痛い、もう……。
それを言ってはいけないことは貴司にだって分かっていたが、もしも今、猿轡を嵌められていなかったなら、『止めてくれ』と、情けなくも懇願してしまいそうだった。
***
太いバイブの全てがアナルへ収まった時、動くことすらできなくなった貴司は小刻みに震えていた。脂汗を浮かべた額へ浩也は軽く触れてみるが、反応を示さない。
思わず『大丈夫か』と声を掛けてしまいそうになったけれど、浩也はそれをグッと堪えた。無残に裂けたアナルの渕から血が流れている様子を見て、痛々しさに眉を潜めながら浩也は指を握り締める。きっと、浩也の優しい恋人は、こんなことを許さない。だけど、正面からやり合って、日向を危険に晒すことだけはどうしても避けたかったし、助けた後、すぐに居場所が知れてしまえば貴司も危険に晒される。
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