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第4話 *
一人暮らしをしていた鬼の頭領でしたが、今では二人暮らしです。可愛い可愛い幼な妻と、絶賛同棲中なのですから。
散々島民を痛めつけた桃太郎も、今ではすっかり若奥さんです。ご近所さん相手に、笑顔を絶やしません。……相変わらず、目は笑っていませんが。
きちんとした手続きは取っていませんが、なんやかんやで……二人は夫婦になっておりました。
結婚して三日後……幼な妻桃太郎は、旦那である鬼の頭領にある行動をとります。
それは、深夜の出来事でした。仕事の疲れから、毎日そこそこ早寝の頭領は……違和感に気付きます。
「…………何の真似だ」
――仰向けで寝そべっている自分の上体に、桃太郎が馬乗りしているのです。
いくら毎日快眠の頭領でも、この事態には目を覚まします。
桃太郎は依然口元だけで笑みを浮かべ、頭領を見下ろしました。
「私達は夫婦になりました。そうですね?」
「…………そ、うだな」
「でしたら、同じ閨ですることなんて一つ。……そうでしょう?」
「は――お、オイッ!」
桃太郎はそう言うと、頭領が穿いている物を躊躇い無く脱がしにかかります。勿論、頭領は困惑しました。
抵抗しようと腕を動かせば、桃太郎が素早くいなします。一度拳を交えたことがある頭領は、自分では勝てないと瞬時に理解しました。
「冗談だろ……ッ!」
確かに、二人は夫婦です。
けれどそこに……愛は無い。頭領は桃太郎のことを憎く思っていても、愛しいだなんて欠片も微塵も思っていないのですから。
それでも、桃太郎の奇行を頭領は止められません。力で敵わないなら口で止めようと、頭領は言葉を探します。
「お前、まだガキだろッ! ふざけたことすんなッ!」
「子供……どうでしょう。詳細な年齢は分かりません」
桃太郎はどう見ても少年です。見た目だけなら十代前半頃でしょう。
屁理屈なのか素直な返答なのか……桃太郎の返しを聴いて、頭領は身じろぎます。
「どう見たってガキ――ぅわッ!」
――が、意味なんてありません。
桃太郎は頭領の逸物を瞬時に握ると、迷わず口に含みました。
「んっ、む……柔らかい、ですね」
「ったりめぇだろッ! いいから離れろッ!」
「いいえ、離れません」
小さな手と口で奉仕を始める桃太郎の瞳は、やはり輝きなんてありません。
――まるで、作業のようでした。
「愛を深めるのに最も効果的且つ効率的な行為だと、お爺さんやお婆さんが言っておりました」
「随分と元気な奴等だな……ッ!」
「ですから、私は貴方を受け止めたいのです」
――不意に、頭領は桃太郎と視線が重なります。
目と目が合い、頭領は息を呑みました。
――目が合った瞬間……桃太郎の瞳が、揺れたからです。
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