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第6話 *

 桃太郎の気丈な振る舞いに、鬼の頭領は腹が立ちました。  見た目は愛らしい少年である桃太郎を見て、頭領はほんの少しの情けを抱いています。だから、少しでも『痛い』と口に出したら手加減してやろうと……そう思っていました。  なのに、桃太郎は弱音を吐きません。面白くないと思って当然でしょう。 「……そうか、よッ!」 「――ッ!」  語尾に合わせ、頭領が腰を打ち付けます。桃太郎は小さな体をびくりと震わせ、息を呑みました。  ――それでも、弱音は吐きません。 「ちょっとはしおらしくしたらどうだよ、なぁッ!」 「ふ、ぅ、く――ッ! いえ、いえ……ッ、痛く、ないの、ですから……しおらしく、なんて……できま、せん……ッ」  桃太郎の小さな逸物は、完全に萎えていました。それはつまり、受けて側である桃太郎に快楽が生じていないということです。  しかし、頭領は腰を止めません。 「無理すんなよッ! ホラッ! ケツん中キッツいままだぜッ!」 「く、う、ぅぐ……ッ」  普段は年齢に似つかわしくない、涼やかな表情ばかりを浮かべている桃太郎の歪んだ顔を見てやろうと、頭領は眼前に組み敷かれている桃太郎を見ました。  ――そこで、今度は頭領が息を呑んだのです。 「――私は、貴方に……『受け止める』と、言いました、から……ッ」  ――桃太郎は、普段の笑みを浮かべたままでした。 「……チッ! あぁ、そうかよッ! そういう奴なんだな、お前はッ!」 「あ、あ……ッ、ふ、ぁ……ッ」  逸物で内側を何度も穿つと、正体不明の滑りに気付きます。それは、乱暴な性交によって生じた傷による、桃太郎からの出血です。  互いにとってそれは不本意なもので……血液は潤滑剤となり、二人の性交をより一層円滑に進めます。 「ぁ、あ、あッ」  悲鳴に似た声をあげながらも、桃太郎は頭領と目が合う度に……微笑みました。  その笑みを見ていると、頭領には苛立ちばかりが募ります。だから頭領は視線を外し、自身の快楽だけを考えて、腰を動かしました。  断続的な桃太郎の吐息を聞きながら、突然――頭領の体が震えます。 「――う、くぅ……ッ」  それと同時に、桃太郎の体が更に強張りました。  ――そう……桃太郎の内側に、頭領が精を吐き出したのです。  桃太郎は声を押し殺し、宣言通り……頭領を受け止めました。 「ぐ、う……ふ、ぅ……ッ」  頭領は精を吐き出しながら、ふと……桃太郎を見やります。  桃太郎は目をきつく閉じ、下唇を噛んでいました。  ――まるで、耐えるかのように。 「――チッ」  二人にとっての初夜は、幸福に満ちたものではなかったでしょう。  忌々しい桃太郎の痛々しい姿を見ても……頭領の心は、晴れなかったのですから。

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