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第3話
いくら考えてもここがどこかは分からない。
見たことの無い景色、見たことの無い生き物。
僕の中には、ある仮説が生まれていた。
いやいや、でも……
現実でそんな事起こる訳がない。
だって、こんな漫画や小説みたいな事……
僕は取り合えず少し歩いてみた。
でもそこは、行けども行けども木ばっかりだった。
見たことの無い葉っぱに変な形の花。
おまけに空には2つの太陽。
見覚えのあるものを探してる筈なのに、目に飛び込んで来るものは僕の中の仮説をどんどん明確なものにしていく。
やっぱり、ここは現実世界じゃな………
そこまで考えて僕は首をブンブンと振った。
いや、そんな事有り得ない。
ここは日本で、僕はただ迷ってるだけだ。
この森から出られれば、絶対見知った町並みが広がってる筈!
そう思って僕は、取り合えず森を出ようとまた歩き始めた。
どれくらい歩いたのか、僕は少し疲れてしまって木の下で休憩していた。
………喉乾いたな。
どこかに飲み水でもあれば良いんだけど……
そんな事を考えてため息をつくと、突然後ろからバキバキと木の折れる音がした。
なに!?
なにか居るの!?
その音はどんどん近付いてきて、明らかに大きい何かだと思う。
これ、逃げた方が良いんじゃ…………
そう思った時にはもう遅かった。
茂みの奥から、音の犯人が僕の前に姿を表した。
茂みの奥から姿を表したのは、僕の背丈よりも大きい黒い毛並みをした狼だった。
その狼はグルルルッと唸り声を上げて僕を見下ろす。
僕はその場から動けなかった。
僕がその狼から目を逸らせないでいると、またポンッと音がして狼の頭上にウィンドウが開いた。
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ブラックウルフ
Lv35
属性 火 闇
HP102/102
MP95/95
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……ブラックウルフ?
HPが102……
そこまで強くは無い。
でもそれはあくまでゲームの世界での話。
今の僕じゃ到底太刀打ち出来ない。
そんな事考えてる間にもブラックウルフは近付いてくる。
何とか逃げる方法………
そう思って、僕は廻りに視線を向けた。
僕がブラックウルフから視線を外した瞬間、ブラックウルフが飛び掛かって来た。
あ………
もう駄目だ……
そう思って、僕はギュッと目を閉じた。
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