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第4話
目を閉じて来るであろう衝撃を待ってると、何時まで経ってもそれがなくて、僕は恐る恐る目を開けた。
「ひっ!」
目を開けると目の前にブラックウルフの口があって、僕は思わず声をあげてしまった。
でも、これだけ近くに居るのに襲ってくる様子はない。
……どうして?
襲われると思ってたのにすんでの所で動かないことを不思議に思ってると、突然ブラックウルフが倒れた。
ドサッと音を発てて倒れるブラックウルフに僕は何が起きたのか分からなかった。
「大丈夫か?」
訳が分からず混乱していると、そう声がした。
声がした方を見ると、男の人が立っていた。
ブロンドの髪にブルーの瞳。
シルバーの鎧を着て、その手には装飾の施された剣が握られている。
……すごい、お伽噺に出てくる騎士みたい。
そう思って、僕は思わず見惚れてしまった。
「どうした?どこか怪我でもしたのか?」
そう言ってその人は剣を鞘に納めながら近付いてくる。
その人は僕の前にしゃがむと、顔を覗き込んできた。
間近で見るその人は綺麗過ぎて、僕は目を逸らしてしまった。
「見たところ怪我はなさそうだな。立てるか?」
そう言ってその人は手を差し伸べてくれるけど、僕はその手を取ることが出来なかった。
「……ぁ……大丈夫、です。」
そう言うと、僕は自力で立ち上がった。
立ち上がった僕を見てその人はホッとした表情を見せた。
僕はその人の後ろに倒れているブラックウルフをチラッと見た。
……このブラックウルフ、この人が倒したんだよね?
そこまで強くはないけど、ブラックウルフを簡単に倒しちゃうなんて、この人一体何なんだろう?
そう思ってチラッと見ると、その人と目が合ってしまう。僕は慌てて目を逸らした。
「自己紹介が遅れたな。俺はジーク・フェルテス。君は?」
「…ぁ……神原…冬真…」
「…トーマか。よろしく頼む。」
そう言ってその人はニコッと笑う。
笑った顔もカッコいい。
そう思って見てると、またピコンと音が鳴ってウインドウが開いた。
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ジーク・フェルテス
種族 ヒューマン
属性 火 水 土 光
HP 70000/70000
MP 150000/150000
職業 金の勇者
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………………………え?
金の……勇者……?
勇者って、あの勇者!?
えぇーーーー!?!?
嘘でしょーーーー!?!?!?
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