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第5話
「どうした?変な顔して。」
僕がステータスを見て驚いていると、そう言ってジークさんが僕を覗き込んでくる。
僕はそれに一瞬怯んでしまった。
……ジークさんの顔、綺麗過ぎて直視出来ない。
それに人と話すの久しぶりだから、どう話していいのか……
「まぁいい。それより、トーマはどうしてこんなところに居るんだ?」
そう聞かれて、僕は首を傾げる。
「ここはアルバの森、それなりに強い魔物が出没する。そんな軽装で立ち入って良い森じゃない。」
……アルバの森。
聞いたこと無い名前の森だ。
それにジークさん、さっき『魔物』って言った。
………やっぱりここって…………
そんな事を考えていていると、ジークさんが僕をじっと見ていることに気付いた。
じっと見てくるジークさんに、僕はたじろいでしまう。
「……トーマは変わった衣装を身に付けているな。そんな衣装は初めて見る。」
そう言って、ジークさんはマジマジと見てくる。
……あまり見ないで欲しい。
ジークさんに見られると、何故か落ち着かない。
それに僕の服ってそんなに変かな?
僕が今着てるのはダークグレイのズボンに同じ色のブレザー。普通の学校の制服だ。
でもここにはこういうデザインの服が無いのかも……
そんな事を考えていると、ジークさんからため息が聞こえてきた。
そのため息に、僕は思わず体を揺らす。
僕、何かジークさんの気に触る様なことしちゃったかな?
そう思ってると、ポンッと頭に手を置かれた。
僕は驚いてジークさんを見ると、ジークさんはニコッと笑っている。
「取り敢えず、ここから離れよう。」
そう言ってジークさんが手を伸ばす。
僕はその伸ばされた手の意味が分からなかった。
僕がなかなかその手を取らない事に痺れを切らしたのか、ジークさんは僕が手を掴んで引っ張った。
ジークさんは僕を引っ張ってどんどん進んでくから、僕はされるがまま着いていくしかなかった。
しばらく引っ張られてると、森が開けた。
そこには、僕の見たことの無い世界が広がっていた。
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