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第8話

門をくぐってすぐ、リューイが足を止めた。 すぐに数人の人が寄ってきて、ジークさんに挨拶をする。 やっぱりジークさんはこのお城に住んでるんだ。 そう思って、僕はもう一度お城に視線を向けた。 やっぱりジークさんって、すごい人なんだ。 そりゃ勇者だもんね。僕とは全然違う。 僕、本当に着いてきちゃって良かったのかな? そう思っていると、ジークさんがヒラリとリューイから下りる。 その後、寄ってきた人たちと何か話していた。 何を話してるとかは分からなかったけど、たまにチラッと僕の方を見てたから僕の事を話してるのかな。 でもどうしよう。僕もリューイから下りた方が良いんだろうけど、どうやって下りたら良いのか分からない。 「トーマ」 僕がどうしたらと焦っていると、ジークさんが僕の名前を呼んで手を広げた。 ………えっと、これは何の意味だろう? 僕はジークさんが手を広げてる意味を考える。 「何をしている?早く下りてこい。」 僕が色々考えていると、ジークさんは急かすように言う。 ………これってやっぱり、受け止めてやるって意味だよね? でも、このままリューイに乗ったままっていうのも無理だし……… そう思って、僕は思いきってジークさんに向かって飛び下りた。 飛び下りた僕をジークさんはいとも簡単に抱きかかえた。 「さっきも思ったけど、お前は軽いな。」 そう言ってジークさんはニコッと笑う。 僕はジークさんの顔が直視出来なかった。 「……早く、下ろしてください。」 僕がそう言うと、ジークさんはクスクスと笑いながら僕を地面に下ろした。 僕が下りたことで、兵隊さんみたいな人がリューイをどこかに連れていく。 ……またリューイに乗せて貰えるかな? 僕はそんな事を思いながら、連れていかれるリ ューイを見ていた。 「リューイならいつも離れの建物にいるからいつでも会える。」 名残惜しそうに見ていた僕にジークさんがそう言った。 「それよりトーマはこっちだ。」 そう言われて、ジークさんは僕の手を握る。 僕はされるがまま、ジークさんに引っ張っていかれた。 ジークさんは僕を引いてお城の中に入っていく。 僕もそれに着いていくしかなかった。 お城の中に入ると、僕は圧倒された。 広い玄関ホールに数々の装飾品、吹き抜けの天井には大きいシャンデリアがキラキラと光っていた。 ……すごい。まんまお伽噺の世界だ。 「お帰りなさいませ。ジーク様。」 僕がキョロキョロと見回していると、前の方からそう声がした。 見ると男の人がジークさんに向けて胸に手を当ててお辞儀をしている。 ……誰だろ? そう思って僕は、ジークさんの後ろから少し顔を出してその人を見た。

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