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第10話
僕はカノエさんに案内されて城内を移動する。
よくよく考えたら僕、今日ずっと歩き詰めだ。
最初は物珍しかったけど、さすがにちょっと疲れてきた。
長い廊下、いつになったら着くんだろう。
そう思って、僕はフゥと息を吐いた。
「どうしたトーマ、疲れたか?」
そう言ってジークさんが僕の顔を覗き込んできた。
僕は突然目の前に現れたジークさんに、驚いて思わず後退ってしまった。
「…ぁ……大丈夫、です。……すいません。」
僕が謝ると、ジークさんが俺の頭に手を置いた。
「謝る事はない。疲れたなら疲れたと言って良い。」
結局僕たちは、少し休憩することになった。
庭が一望出来るテラスに案内される。
うわぁ、すごい!
花が咲き乱れて、奥の方には噴水も見える。
手入れの行き届いたキレイな庭。
僕はその庭に、すっかり見入ってしまった。
「トーマくん、こちらへ。」
そう言ってカノエさんがテラスに置いてある椅子を引いた。
その横にはジークさんが既に座っていた。
僕が椅子に座ろうとすると、それに合わせてカノエさんが椅子を押す。
こんなことされたの初めてだ。
そう思ってカノエさんを見ると、目が合ったカノエさんがニコッと笑う。
僕はその瞬間、思わず目を逸らしてしまった。
やっぱりカノエさんすごくキレイだ。
そう思って、僕は俯いた。
そのままカノエさんは僕の後方に立つ。
ちょっと待って!?左にジークさん、後ろにカノエさんって、こんな二人に囲まれるなんて、僕どうしたらいいの!?
そう思って焦っていると、メイドさんがお茶とお菓子を持ってきた。
ふわっ!リアルメイドさん!!
すごい!本物だ!
リアルメイドさんの登場で、僕の焦りはどっかに飛んでいってしまった。
メイドさんたちはテキパキとお茶の準備をする。
僕はメイドさんも気になったけど、それよりもずっと立ってるカノエさんが気になって仕方なかった。
「……あの……」
僕はカノエさんに向かって声を掛ける。
「どうかしましたか?」
「……カノエさんは、座らないんですか?」
そう聞くと、カノエさんはきょとんとする。
その後、クスッと笑った。
「私はこのままで」
そう言ってカノエさんは立ち続ける。
もしかして、ジークさんと一緒は駄目だとかあるのかな?
でもカノエさんが立ってるのに、僕が座ってるなんて何か申し訳ない。
「カノエ、お前も座れ。」
僕がそんな事を考えていると、ジークさんがカノエさんにそう言う。
カノエさんも最初は驚いた表情をしたけど、僕と目が合うとクスッと笑った。
「分かりました。」
そう言ってカノエさんは僕の反対側に座った。
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