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02※
「大体、そんなとこ、自分で触れるわけねえだろっ」
「だから、僕が塗ってるんじゃん。ほら暴れないで」
滑るように根本まで入ってきた一本の指に内壁を撫でられ、こそばゆさに「ひっ」と息を呑む。
慌てて逃げようとするが、長い翔太の指から逃れることはできず、ぐにぐにぐにと執拗に薬を
塗り込まれれば背筋が震えた。
羞恥か、それとも薬のせいか。
「いやだ、くそっ、やだ、気持ちわりい、抜けバカッ」
「今まで散々カナちゃんの面倒見てきた僕に対してそんな口聞いていいのかな」
「それは善意で治療してくれる奴のセリフじゃねえだろ、って、ぁ、ちょ、待っ、んんっ!」
二本目の指がわざと入り口を広げるようにして入ってくる。
すでに薬をタップリと塗り込まれ、ぬるぬると滑りやすくなっていたそこは簡単に翔太の指を飲み込んでしまうのだ。
圧迫感と言うよりも、かゆいところに手が届くような心地よさにぶるりと背筋が震えた。
「っ、ふ、ぅ……や、翔太ぁ……っ」
やめろ、この変態眼鏡。
そう翔太の腕を掴もうもした瞬間、指の腹を前立腺で柔らかく揉まれ背筋が震えた。
「ぁっ」と喉の奥から漏れるその声に、翔太の眼鏡か反射する。そしてその口元にはニヤついた笑み。
「何今の声。……ねえ僕手当をしてるんだけど?カナちゃんもしかして感じてる?」
「ちが、っん、んんっ、ゃ……ほんと、やめろ……っ」
「本当に?じゃあなんでここ、大きくなってるの?」
弱いところを集中的に弄られ、エプロンの下、条件反射で頭を擡げていたそこを布越しにぐるりと撫でられただけで腰が大きく引く。
「そ、れは……っ、ぉ、お前だって……ッ!」
といいかけて、何故こいつまで勃起しているのだと血の気が引いた。
こいつの性癖はマリアナ海溝よりも深いと思っていがいくらなんでも見境なさすぎではないか。
「お前っ、離れろッ!何が善意だ……ッ!ぁ、ゆ、び動かすなぁ……ッ!」
「……言っておくけどカナちゃんが変な声出すから悪いんだよ、僕はあくまで紳士的に対処するつめりだったのにさぁ……」
「お、押し付けるな馬鹿ッ!やめ、んぅ、や……ッ!」
やめろ、と押し返そうとしたとき、更に弱いところを責め立てられ声が漏れそうになる。
駄目だ、クソ、俺の体は正直者か。わざと音を立てるように執拗に中を嬲られ、腰がガクガクと震える。
立っていることが困難になり、どん、と背中が壁にぶつかった。
「っ、ぁ、や、翔太……ッも、いいから、そこ……っだいじょ、うぶ……だから……っひ、ぅ!」
「本当?……どんどん熱くなってくるし、すごい中狭いし……もしかして腫れてるんじゃないの?」
「っ、ぉ、まえ……ッ」
分かってる癖にと睨みつければ、翔太は何か言いたそうな顔をし、そして諦めたように溜息を吐いた。
瞬間、中の指が引き抜かれる。
熱で溶けた軟膏で濡れた指をトイレットペーパーで拭う翔太。
中途半端に弄くられ放置され、唖然としていると翔太はこちらを振り返り、そして鍵を開けたのだ。
「それ、ちゃんと自分で収めておきなよ。……あいつらに見付かると面倒だからね」
「……ぇ」
「何?その顔」
「しょ、うたは」
もっとしてほしい、なんて死んでも言えるわけがない。まさか本当にやめるとは思わなかっただけに混乱する俺に翔太は眼鏡をくい、と直す。
「……後が怖いからね」
俺が本気で嫌がっていると思っているのか。
それとも別の意味があるのか。
俺には分からなかったが、翔太はそれだけ言うと「忘れ物」と軟膏を投げて寄越す。
そしてそのまま出ていく翔太に、悲しきかな一人で便所に閉じ籠りシコシコ励むことになったのだ。
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