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第4話

―桃太郎は、腰につけたきび団子で、三匹の家来を手懐けた―  一瞬そんな品のない考えが棟梁の脳裏を過った。きび団子は、文字通りの意味だろうと考え直すことにした。 「どうして欲しい」 「わからない」 「わからない?これは異なことを。男であれば、どうすればいいか知っておろう」 「こんなの初めてでわからない」  そこまで言うと、桃太郎は本格的に泣き始めてしまった。上も下も大洪水である。棟梁は困った。桃太郎に年かさを聞いた時、十六歳と答えていた。桃太郎がいくら実年齢より幼く見えるとは言え、肉体的には成年に近づきつつある。初心のふりをしているつもりなのか、それほど芸達者には思えない。棟梁は図りかねていた。 「今までもそこが、熱くなることはあった、でも、悲しいこととか、辛いことを思い出したら、自然と収まったんだ……」  まるで宗教家のようなことを言う。そんなことが可能なのだろうか。桃から生まれた人間は、人と違うのか。  鬼の棟梁は色々考えたが、結局自身がするときと同じように慰めてやったら、擡げたそれは鎮まり、可愛らしい姿になった。自分と同じものであるはずなのに、小ぶりなそれが欲を放つのを見て、さらに己の欲望が大きくなるのを感じたが、桃太郎が過ぎる快楽に寝入ってしまったのを見て、その日は自己処理をして済ませた。  鬼の棟梁が何日かそのように愛でてやると、桃太郎もその快楽に慣れてきたのか余裕が出てきた。やがて「私がしてもらったように、貴方にもしてあげたい」などと殊勝なことを言うので、その剛直を小さな唇に収めさせた。黒髪に己が放ったものがこびりつく様は、背徳感や征服感に支配され、すぐに猛りを取り戻してしまった。   それからまた何日かして、今度は互いが互いを慰め合う体制での交わりに発展した。そうすると、どうしても桃太郎の可憐な臀部が目に入る。桃太郎が鬼の棟梁の長大な陽物に触れる度、眼前にその慎ましやかな窄まりが晒される。桃色に色づく幼い性器と同様にその部分だけ濃い色が覗く。男同士の場合は、そこを使う。これは知識としても、経験としても知っていた。 ただ、これは受け入れる側に多大な負担をかけるとも知っていたし、桃太郎が与える拙い刺激に感じ入っていたいという思いもある。

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