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ありがとう
しかし、杜月の予想とは違い在咲はその告白にぱっと目を輝かせた。
そして在咲が告げたのは、杜月が好きだという事。
「杜月さん、俺……一生離れないって約束します。だから俺と、付き合ってくれませんか?」
真っ直ぐな在咲の視線と言葉に、杜月は涙を流すことしか出来なかった。
在咲はそんな杜月の姿を初めて見て慌てたが、すぐに身を寄せて抱きしめる。
しかし、杜月はそこで胸につかえるもう一つのことも打ち明けた。
「俺、吸血鬼なんだ。だから、定期的に血液を吸わないと、ダメで……」
背を抱いていた在咲の腕が、一瞬ピクリと動く。
そっと体を離して、在咲は杜月の顔を見つめた。
「じゃあ、今まで誰かの血を……」
コクリと頷く杜月に、在咲は悲しげな顔を向けた。
杜月は“終わり”の雰囲気を感じ、身を引こうとする。
しかしその肩を力強く掴んだ在咲は、大きく息を吸った。
「なんで早く言わないんですか! 俺のならいくらでもやりますよ!」
「……え?」
「どこかの知らない人を食うくらいなら、俺にしろって言っているんです!」
所謂“吸血行動”のシーンを想像した在咲は、見知らぬその相手に嫉妬していた。
自分よりも先に肌を寄せ、首筋に噛みつかれ、甘い言葉でも囁かれたのだろうか。
想いを寄せていた杜月がそんな事を自分以外の誰かにしていたのだと思うと、在咲は堪らない気持ちになった。
「……は、はは……あははっ! お前って本当……」
好きになってくれたことも、人ではない自分を難なく受け入れてくれたことも、杜月にとってはこの上ない幸せだった。
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