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22(side三初)※

「あっ…! あッ…! もう止め、ろ、しぬ…っ、死ぬか、ひぃ……っ!」 「うるせー。死なないから、ダイジョブ。ねっ? だから、静かにしててください」 「くふ、っう、やらぁ…っみはぃぇ……っ」  うるさい、と言って口内に指を三本突っ込んでやったが、先輩は口数が多いだけで、声自体は大きくないので本当はうるさくない。 「みふぁ、ひぇ…っ、ンッ…んッ…ひぬ…ひぬ……っ」  だけど泣きそうになりながら自分を犯している元凶である俺を呼んで、助けて、助けて、と繰り返し縋るのが、なかなかイイ。  このためだけに、大げさにいつもいじめてしまう。押し寄せる快感が処理しきれないのだ。  死んじゃうーって本気で思ってるのかねぇ。本気だろうな。アホな先輩だからな。  それがカワイイと思う俺は重症か。  割と手遅れ。  一生の付き合いだしまあいいか、と思っているから救いようなし。  ギッギッと便座が軋むのもおかまいなしに片手で骨盤を押さえつけ、固定し、赴くままに抱き潰す。 「あはっ……俺があんたの死因とか、最高だわ。殺してあげますよ? ちゃんと死んでくださいね……?」 「ひッ…ひッ…ぐ、ぉれ、息できね…っひぬ…かっ…やめへぇ、っ……」 「っふ……約束」 「あぅ…ッ、ぅ、ぁ……っ」  イイコな先輩がちゃんと頷いたのを見てから、俺は優秀な穴の中に深く埋め込み、昂った欲望を全て吐き出した。  気持ちいいけれど、居心地のいい場所にいれなくなるのは残念だ。  映画がそろそろ終わるだろうから人が来るかもしれない。潮時か。 「は……」  さーて。  殺す権利も貰ったし、なかなかスリルのあるデートだっただろう。  マゾな先輩も、大満足に違いないわ。  気持ちいいことが好きなあんたに、俺はそれを与え続ける。  だからよそ見厳禁なのだ。  ピク、ピク、と小刻みで緩い痙攣を繰り返す先輩の中で腰を揺すって、指を入れたまま濡れた顎を強く掴みあげる。 「ぁっ……んぁ……ひ()ぃ…みはぃめ……ひんらぁ……」 「くくく……でも死ぬの、気持ちよかったでしょ? トロ顔晒して、恥ずかしいマゾ犬め」 「ぁぅ……」  緩く肯定する声に、ちゃんとわかってんのかね、なんて嗜虐心がムクムクと湧き上がってくるが、それは我慢した。  とはいえ現実的に見ると、そのうち我に返るだろう。  どうせこの後俺は、ふざけんなと唸り声の一つでもあげられること間違いなし。  それがわかるくらいには、俺は御割先輩を理解している。  そしてそれがわかっていても毎度いじめるということをわかっているくらいには、先輩も俺を理解している。 (ん……なんとなく気になるのは、悩める先輩がたいてい明後日の方向に暴走すること、かな)  ──それも含めて愉快な恋人関係なので、泳がせてみることにした俺だった。  流石に他の人と浮気するとか風俗系に手を出すとかは、性格上ないだろうしね。  不器用で融通が利かないストレート過ぎる性格も好、じゃない気に入っているから、信頼しているわけだ。

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