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「ッくそ、ぜってぇ、っふ……殺す……っ、ぁ…っん……ッ、ヤったら、殺す……ッ、舌噛んででも、許さねぇ……っ」  せめてもの反抗を続けながら、俺は心底自分を呪った。  考えた行動が空回りするのは性分だが、恋人に秘密を作ったツケが回ってきたのだ。  抵抗虚しく、スイッチを入れる音がして、ジジ、とフィルムが回る気配を感じる。 「ふー……死んでも操立てるって気概あるなら、どうして慣れてないくせにこんなとこ来たの? 自分のせいでしょ」 「っ……」 「ホイホイ男について行ったのもさぁ……お勉強の方向性、間違ってますよねぇ」 「ひゔっ…く……っ」  後ろに移動したマネージャーにズルッ、と乱暴にプラグを引き抜かれ、呻き声が漏れた。  次いで冷たいものが尻の割れ目から背中、頭までに零れ、ラテックス製の手袋の独特な肌触りと共に塗り込まれる。  これは多分ローションだ。 「知識つけて実地訓練とは、優秀で結構。でも、こういうお店に行くことぐらいは、前もって知らせておくべきだったと思いませんか?」 「ぁ…っひ、ん……っ」 「捕まったのはまー予想外としても、さ。知らない間にゲイの巣窟に行かれて、普通相手からすると、気が気じゃないですよ?」  その手つきがいやに俺の性感帯を心得ていて、熱を持った傷に冷感が沁み、心地いいのが悔しい。  これ以上跡にならないよう癒されてるのかと錯覚しそうになるが、いたぶるための下地だろう。 「……優しくしてあげらんないわ」 「っふッ…あっ……」  俺の体にローションを塗りこんだ手はそのまま背筋を抉り、プラグによって解れきった秘部へ三本の指が差し込まれた。  肌が粟立ち、甘い吐息混じりに喘いでしまう。  機械で痺れさせられた襞を、緩やかにヌチュ、ヌチュ、と粘着質な動きで指が解し、嫌なのに内部が収縮して指に絡みついた。 「はぁ……っ、ぅ、やめろ……っ」  悔しくて涙が出そうになる。  激しく刺激されたところをとろ火で炙るような快感であやされるのが、俺の好きなやり方だからだ。  言ってることも、さっきと違う。  俺を決めつけるのではなく、俺が悪い部分を指摘し、抵抗の声を削ぎ落とす。 「飼い主に秘密で他のに捕まってさ。オモチャと鞭でイって、気持ちよかったですか? 男に熟れてきたら、物足りなくなったの?」 「ヒッ…ぐ、違うっ……違、ぁっ、て……っあ、あ…っぁ……っ」 「じゃあさ、お望み通りにココで中イキさせて、それを動画に撮りますね? そうしたら満足するの? もう飽きたの?」 「んっ…いやだ、や、やめろ、違う……っ」 「望むとおりのことをなんでもしてやりますよ? だから、ね? 俺で満足しな? 痛めつけてくれるなら、この体は誰でもいいんでしょ?」 「あっ…ぁっ…いや、や、ひ……っ」  前立腺を狙いすましてつつかれ、頭を振って悶える俺の思考はぐちゃぐちゃにかき混ぜられ、まともから引き剥がされていった。  腰が揺れて内ももが痙攣し、反り返る屹立は濡れそぼっている。 「あっ…いや…いやだ…っ、ぁっ…あっ……ゔぁッ」  宣言通り、今度は出さないでイカされてしまいそうで、必死に意識を逸らそうとした。  けれどバチンッ! とキツく鞭が振り下ろされ、俺は声を上げて仰け反り、痛みにしつけられていく。  バチンッ、バチンッ、といたぶる鞭も、全然前と違う。僅かも容赦がない。 「あッ…アぅッ…ヒッ、ひぃッ…ッ……ッ」  俺の反応をよく見ているのか、俺がイキそうになった瞬間、痛烈な痛みで絶頂を押し戻す。  何度も何度も、繰り返し押し戻されて、頭がおかしくなりそうになるのだ。  すると最後には、バチンッ! と鞭打たれた瞬間、俺は「ひぁぁ……っ」と情けない声をあげて達してしまった。

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