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「……わ、悪かったから……っも、許してくれよ……っ三初、……許して、くれ……もうしねぇよぉ……っ」
全てを吐き出した後に、俺は泣きながらこの場にいない三初に対して、謝罪を繰り返した。
マネージャーの言うことはもっともで、俺は三初が知ったら怒るとばかり思っていたのだ。
三初が気が気でないということは、考えていなかった。
怒りではなく、悲しむだろうということを、わかっていなかった。
秘密にしたせいでこうなって、それをこんなビデオで見てしまったら、辛くないわけがない。俺は酷い恋人だろう。
ヒク、ヒク、と横隔膜を痙攣させ、鼻をすすり、蚊の鳴くような声で謝罪を繰り返す。
「ごめ……っぅ、悪かった、って……シたくねえよ……っ勘弁してくれ、嫌だ……っ三初以外は、嫌なんだよぉ……っ」
粒を形成した涙が一つ生まれると、目隠しに吸い取られ、瞼が湿る。
そうするといつの間に前にやってきたのか、手袋を外した素肌の手に、グッと顎を掴まれ上を向かせられた。
「……馬鹿だなぁ」
振りほどこうと頭を振るが、それは叶わない。
濡れた頬を親指がなぞり、もう片方の手が、湿った黒毛の頭をポンポンと慰めた。
しくしくと涙する俺の目隠しが、そっと外される。
「つまらないっていうのは、あんたと無縁の言葉ですよ。飽きられたら困るのは、こっち。……でもまさか、俺が言葉足らずなせいで、ゲス野郎に引っかかったとは、ね……」
声は、機械音声ではない。
オレンジライトが濡れた目に沁みてすぐには景色が脳へ届かなかったけれど、それでも俺に触れているのが誰か、当たり前にわかってしまった。
「み、みはじめ……っ」
「はい」
顎の下を指で擽られ、滲ませるに留めて我慢していた涙が、頬を伝う。
隠し事をして自分の迂闊で危険だとわかっていた相手に捕まり、こんな姿にされたのに、三初がいつも通りのニンマリとした笑みを浮かべてくれたからだ。
ここにいるということは、迎えに来てくれたってことで。
俺に呆れて捨てたりされないのか、と思い、今度はちゃんと三初と認識した上で声を上げた。
「ぁ……ぅ、あ……お、俺……俺ぇ……っ」
「わかってるから、泣かんでね。もうしないです。もう終わりですよ、ね」
「ご、ごめん……っごめ、ゲホッ……俺が勝手、悪ぃ……っ」
「もういいよ、許す。だからほんと……ガチ泣きは勘弁してください。なんかゾワゾワするからさ」
三初は俺の目元を舐めて、ポロポロと零れる涙を止めようとする。
唇を噛んで耐えると、どうにか涙が抑えられた。
泣き止むと怒ると思ったのに、怒らず頭を抱きしめられ、三初は珍しく慰めてくれる。
それが普段とは違うから、俺は実は怒ったり傷ついたりするほどの情がないのか、と不安になり、潤みそうな目をギュッと瞑った。
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