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07
暴露と同時に鬼気迫る表情で瞳孔をカッと開きながら、酒に手を出そうとする俺を再度押さえつける一悶着発生だ。
しかし二度目の飲酒はあっけなく阻止され、俺は肩を丸めて口をへの字に曲げたまま黙り込むことになった。
理由は誰かさんが「泣き顔告白上映会とさっさと話進めんの、どっちがいいですか?」と耳元で呟いたせいである。
いつか絶対顔面をフルスイングで殴ってやりたいと強く思う今日この頃だ。
そんなこんなでようやく場が整った。
俺はとりあえずココアを二ついれて、テーブルに持っていく。
特に美環を気にすることもなくくつろいでいる三初にはコーヒーをいれたが、一気に飲み干して「豆に土下座してほしい」と呟いた。
悪かったな不器用でッ!
ほっとけコノヤロウ。今度リベンジしてやらァ。
ゴホン。いい加減にしねぇと進まねぇ。
それで話を聞くと、美環は住む場所が一時的になくなったので、俺の家に居候したいということだった。
工事はだいたい三ヶ月程度で終わるそうだが、美環はマンスリーマンションを借りたことがないのでよくわからず、借りる勇気がない。
ビジネスホテルは高く、ネットカフェで三ヶ月は気が引ける。
友人を頼るのも申し訳ない。
そこで俺が一人暮らしをしていることを思い出し、職場からは遠くなるが、居候させてもらおうと連絡したらしい。
「うぅ……でもにぃに彼氏がいるとは思わなくてね、ごめんねっ、三ヶ月はやだよねっ」
話し終わった美環はしゅんと気落ちして、肩を丸める。
それを見るといつだって仕方ねぇな、という気になってしまう。
柔らかな黒い髪をポニーテールにした美環は、俺とは似ても似つかないかわいらしい顔をしているのだ。
背丈も小さく、百五十くらい。
目がクリクリと丸くて顔も丸型。胸以外幼児体型。
全部コンプレックスだから、指摘すると唸る。コーギーに似てると思う。
こう見えて妹をかわいがっているので、俺が犬好きなのは、にぃ、にぃ、と後ろを着いて歩いていた美環がいたからだ。
(三ヶ月……まぁベッドが一つしかねぇけど、下に布団敷けばいいか)
なぜ恋人云々なのかはわからないが、合鍵は渡してあるし、そんなに問題がないと思う。
俺はココアを飲んでから美環を見つめ、頷いた。
「三ヶ月くらい、別にいいんじゃねぇの」
「修にぃ? にぃがいつでも私のにぃで嬉しいけど、大人のお付き合いでそれはマズイよ? 喧嘩案件だよ?」
「は? なんでだよ」
しかし本人にブンブンと首を横に振られ、俺はあぁん? と眉間にシワを寄せる。
ビシッ、と無言で三初を指さされたのでそっちを見ると、三初はやはり特に気にした様子はない。
けれど美環に指をさされて、少し考え、俺の耳に唇を寄せた。
「三ヶ月は先輩んち泊まれないですよね。ヤりにくくなるでしょ? ご飯食べに行くのも、美環ちゃんいるならあんま外食良くないし、俺が作りに来るのも変だからね」
「! ……そりゃ、……じゃあ、お前んち行けばいいじゃねぇか」
「朝帰りイコールセックスバレですが、先輩の羞恥心と兄の威厳は息してますか」
気づかなかった事実に狼狽える俺を追い打つセリフに、言葉を失って閉口する。
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