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 拗ねているのか、不貞腐れているのか、嘆いているのか、悲しんでいるのか、はたまた怒っているのか。  潜り込んでしまった三初の意図なんて、想像と経験則の自己解釈でしかない。  しかしとりあえず俺が求めたことは叶えてやろうとしたが、常にいつもの自分しか見せたくない、というプライドがあることはわかった。 (マジか……こいつ……)  拗ねたような気分だったのが、驚いて内心でそう呟く。  普段から誰にも弱みを見せないのは、多分育ってきた環境か、なにかそうしようと思うことがあったからだろう。  けれど他でもない俺だから、というところの根っこは、男の矜恃。 (それって有り体に言えば……好きな人だからこそ、〝かっこ悪いところは見せたくない〟ってことかよ)  その結論に達した途端──ニヤ、と口元が緩んだ。  なんだこいつ、かわいいか。  三初は、意外とガキっぽい。  どうにも、小学生のような恋愛の仕方をしているようだ。  自分が鈍感で構ってほしさを押し付けていたところを反省する気持ちと、頑なな三初に対する苛立ちのモヤが、簡単に薄れていく。 「くく、なんだよ」 「ゴホッ、なに……、は、重いですし……」 「あははっ、やべぇ、くっくっ」  髪がはみ出るくらいを残して布団の塊になっている三初を、潰さない程度に上から抱き込んだ。  抱き込まれた三初が布団の中で嫌がるが、なんのその。  俺は今、すこぶる機嫌がいい。  もっと言えば、めちゃくちゃこいつをかわいがりたいんだ。 「わかったぜ。一緒に暮らしてンのにこの一週間、俺を一切頼らなかったのはそういうことかよ。だせぇやつだな、要ェ〜」 「っ? や……名前やめて……」 「今更だろ、名前くらい。要。要くん? カナちゃん。ふっあははっ、カナちゃんは怖かねぇわ。くくく、まぁ、今日は俺の天下だぜ」 「ラリってんですかね。……なにがヒットしたのか、ゲホッ、も、暑苦しいなぁ……」  三初は名前を呼んで急にテンションが上がり始めた俺に、少し困惑した様子だった。  それも気にせず、布団の塊をぎゅうぎゅう抱きしめる。  カナちゃんは似合わねぇ。笑っちまう。  でもそのくらい、かわいいと思ってしまった。  いつも俺だけが先輩らしく、年上らしく、格好つけたがっていたのかと思っていたのだ。  いつも俺の世話を焼き後始末をつけてなにかとサポートしてくれるこいつが〝弱った姿がかっこ悪いから見せたくない〟なんて思考を持っているとは、初耳である。  構わねぇのによ。  俺は結構、今嬉しいんだぜ。 「うん。これから俺たちはちゃんと、共同生活していくんだよ。わかったら、今は俺に愛でられてろ。仕事じゃねぇんだ。いろいろ、一緒にしていこうぜ」  ワシャワシャとはみでた頭をなでた後、その髪にキスをした。  そのくらい俺は浮かれてる。  しかしキスをされた三初の頭は布団の中に完全に引っ込んで、伸びてきた手が俺の頭を叩く。  おいコノヤロウ。嫌がるなよ。せっかく甘やかしてんのに。

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