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 そうして迎えた新コンビ始動。  俺は荷物を抱え、竹本と二人、都市部のショッピングモールへ一週間の出張だ。  それほど遠くはないが移動の手間を考え、出張扱いでホテルをとることになった。  もちろんツインだ。  竹本は絶望的な顔をしている。  失礼なやつだなコイツ。ダブルよりマシだろ。  荷物はホテルに預けて、渋る竹本を引っ張り開店前のモールへ向かう。  手荷物検査を経て入館証を発行してもらい、事務所で挨拶をした。 「六月から八月の夏季限定イベント〝夏、冷やしちゃいました。〟で七月第一週の出店を担当させていただきます。竹本です」 「初めまして、御割です。本日はよろしくお願いいたします」 「あ! リューシンの担当者さん方ですね。いつもお世話になっております。責任者の山場(やまば)です」  名刺を渡して挨拶をすると、恰幅のいい小柄な中年男性である山場さんは、笑顔で応対してくれる。  ちなみに、リューシンというのはうちの会社の名前。基本はローマ字で表記しているが、元々は漢字だ。  衝立で区切られた応接スペースにて軽く説明を受けた後は、移動。  一週間お世話になる場所である、ノースモールの一階へと案内された。  朝早くに業者が入ったので、既に搬入作業は終わっている。  コーンで区切られ、ショーケースや冷凍庫等一式が布をかけられ置いてあった。  ここがこれから俺たちの臨時店舗だ。  山場さんと別れた後、ぐっとシャツを捲る。 「さ、やるぜ。販売の連中が来るまでに準備しておかないと」 「了解。あ、冷凍庫はずっと稼働してるから大丈夫。あれだ。御割はその、ディスプレイの準備優先で……いけるか?」 「ん、やる。力仕事はやるから、竹本はレジ設定してくれ。起動時間かかるだろ。パソコン繋げるから」 「おぉ、助かる。試食のスプーンとカップは……」 「大丈夫。来たやつ全部在庫確認してリスト上げるし、セットもする。立ち上げに集中してろ」 「ほぉ〜。オーケイ!」  印刷しておいたディスプレイ完成図案を見ながら、俺は仮店舗を設営し始める。  事前に過去の資料を見てトラブル予測を立てていたので、準備は万端だ。 (問題は接客だが……まぁそれは喫茶部門から来てくれる接客メンバーに任せるしかねぇな)  夏味トポスのみを購入できる棚を装飾しながら、内心で息を吐く。  竹本も「俺らは基本的に列整理とか宣伝、在庫と売上管理のマーケティング担当だから」って言ってたしな。  ごく稀にイベント系で接客を担当した時の残念な記憶を封印し、首を振る。  宣伝企画の仕事の延長線上にこういうことがあるなら、それも俺の仕事。  一週間出張ということのイコールを考えないようにして、自分のやるべきことをやる。 「どうにかなる。……どうにかするッ」  俺は小さく呟き、やれるだけのことをやることにした。

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