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 まただ。  俺の見られたくないところなんて、三初は絶対に全部見る。  だって俺は三初のものだから、もう、泣いても笑っても逃げられない。 「もう出る、出るから、目ぇ閉じて、みはじめ、お願い、俺が出るとこ、見ないで、みはじめ、ぁぁ、あ、ぁ、あ……っ!」  一際大きな快感の波に攫われ白んだ意識の中──プシッ、と吹き上がる淫液。  途端に抱えていた足を離した俺の手の代わりに、三初は俺の腰を掴んで足ごと抱き寄せる。 「ヒッ……ぁッ……はッ……」  激しく脈打つ互いの鼓動と肌の張り付く心地良さに委ね、気持ちいい、と恍惚とした多幸感に沈んでいく。  絶頂を迎えてピク、ピク、と痙攣する肢体の中で、俺をおいつめていたモノが達する脈動を感じた。 「ふっ……めでたく三十歳の御割先輩は、めちゃくちゃ恥ずかしい、大人ですね」  それから、意地悪な響きを含んでいながら、甘さを滲ませる熱っぽい声が聞こえる。  また、見られてしまった。  こうやって肉棒の先端を指であやされながら、尻の穴を犯されて、酷く感じるいやらしい体を。  恥ずかしくって、泣きたくなって、嫌になったらどうしようと、思う。  だけどダメダメで気持ちいいと泣きながら逃げ出す俺でも、三初は気持ちいいんだ。  そう思うと、淫猥な色に染まった真っ赤な顔で、唾液で濡れた唇が開く。 「ぁ……おとななのに、はずかし、いの……俺……好きに、なった……」 「っ……そーですか」 「ん、ぅ……」  ちゅう、と吸い付くように唇を覆うキスに、腰がビク、と痺れた。  やっぱり、三初はキスが好きなんだ。  足を離したらやめる、と言ったのに、結局、俺が離したら落ちる前に俺ごと支えて抱き寄せた。  それが、嬉しい。  後、かわいい。大好き。  ひねくれたドSな暴君でも、俺は、不思議なくらいハマってる。  変なの、だ。  全然ひでぇ男なのに、ううん、いいんだって思っちまう。  今日だって媚薬をたっぷり使って、理性をもいでやらないと、俺に甘えてくれなかった。  余裕をもぎ取ったのだが、思っていたのと、かなり違う。  俺が息してると興奮するって、謝っても、全然許してくれなくて、俺は散々抱き潰された。  一応、結果としては、なりふり構わず求めてもらえている。  なので、本懐は遂げたことになるのだろう。  唇が離れて、三初は俺の鼻にガブッと噛み付く。痛い。情けなく眉を垂らす。 「今の間に、改めまして……お誕生日おめでとうございます。先輩」 「ぅあ、あ、ぅ……」 「俺ね、タイムマシンができたら、さ。まず最初に、二十九年分の誕生日の日の先輩を攫って、初めてのキスを奪います」 「ん、っ……き、す……?」  話しながら抱き寄せた肌をなで、胸元の突起を弄んだ。  涼しい顔で薄ら笑いをうかべる三初は、俺の全てを暴きたいワガママな強欲男。 「生まれたその日にあんたを見つけなかった自分を、悔やむくらいには……この唇、好きなんですよね」  だけどそれを真っ直ぐに言えない天邪鬼だから、俺の唇にキスをする。  離れがたくて甘えたくなった俺は、「俺のほうが、もっと好きだ」と鳴いて、三初の背に腕を回した。  破れ鍋に綴じ蓋。  酒と薬でもないと素直になれないねじれた恋人同士でも、案外、ピタリと抱き合えるものである。

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