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第29話 壊してしまうかもしれない

加賀谷さんは指を曲げて、内壁のその辺りを引っかけるようにしてくる。 「だめです……あ」 「素直になれよ。もっと気持ちよくなるから」 首を振っていると、抽挿は一層激しくなる。 「いや、いや――あっ!」 泡で滑り、躯をしたたかに打ちつけた。肌が痛い。 「我慢していたら怪我しちゃうよ。ほら、もっとお尻をこっちに見せて」 腹部を下から支えるようにして、加賀谷さんは私の腰を高く上げた。同時に指が深いところまで進入してくる。 息が詰まるのに腰の奥から蕩けそうなほどの快感が迸る。 「ん、ん」 「晴之の入り口、潤んでいい色に染まっているよ」 「いや……」 そんな卑猥な言葉は言わないでくれ。されるだけでも抱えきれないほどの興奮が沸き起こるのに。 深く、乱暴に加賀谷さんの指が入ってくると、私の内壁はきつく締まる。 指を増やされても、窄まりは嬉々として迎え入れてしまう。渇いた喉を潤すために飢えのままに嚥下しているみたいだった。 「ああ、苦しいのに……なんで、入るんだろう……」 「もっとしてほしいからだよ。ほら、見てみろ」 加賀谷さんは手を伸ばして、私の目の前にある鏡を擦った。曇りが取れてふたりの顔が浮かぶ。 私の頬と唇は、熟れた果肉のように艶めいていた。瞳に力はなく情欲の色が滲んでいる。与えられた劣情の毒に冒されている顔だった。 こんなに感じている顔をしているなんて思わなかった。 乱暴なことをされていると思ったのに、私の躯は全くいやがっていないのか。 鏡越しに加賀谷さんと目が合った。表情はわからなかったが、赤く染まる頬と白い歯が見えた。 「本当はよすぎて戸惑っているだけなんだ。自分から腰を振ってごらん。苦しいのがなくなるよ」 「う、ん……」 揺さぶられながら、私は頷いた。加賀谷さんに尻を突き出して腰を動かした。 その途端、中が収縮し痙攣し始める。私が身を任せるのを待っていたかのような動きだった。意識せずとも、私は加賀谷さんの指を奥へと誘ってしまう。 「はあ、あ、あ」 加賀谷さんは私が感じるポイントを的確に突いてくる。リズミカルに動かされると、悦楽の波が収まらない。 初めは前へ後ろへと遠慮がちに腿を動かしていた。 だが、それでも飽き足りないので、私は下半身全体を大きくくねらせた。加賀谷さんの手の動きに合わせると、銜えた箇所が更にきつく締まった。 「もう、扱かなくてもいいな。尻を弄るだけで、とろとろになっている」 「ん、おかしい……あ、こんなの変だ……」 ただ、指を入っただけなのにどうして気持ちいいんだろう。 「変じゃないよ。ほら、出せよ」 私の奥に指を突き刺す。同時に欲望の先端を弄る。 「ああ、うっ……」 痛みと、快感に、私は泣きながら射精した。 放出とともに窄まりがきつく閉じる。吸い上げるように、加賀谷さんの指を締めつけてしまう。思いがけない肌の動きに、私自身が驚いた。 小刻みに震える私の躯を、加賀谷さんは更に蹂躙していく。敏感になった内壁を、強く擦っている。 「あ……あ――」 首を振りながら、私は悶えた。吐精したというのに、愉楽の波が未だ押し寄せてくる。 「感じやすいって罪だな。見ている奴をその気にさせるんだから」 「ん――」 「だめだ……とまんねえ」 指を抜き、荒い呼吸をする私を仰向けにする。熱に浮かされたような、色気のある顔で私を見下ろしている。 彼の喉仏が動いたような気がした。 「本当に、壊してしまうかもしれないな」 いいです、と言って、私は頷いた。 「お願い、来て」 腕を伸ばした。指を絡めて、くちづけを交わした。舌で応えたいのに、昂ぶってしまってうまくできない。 私は両膝を立てて、できるだけ足を広げた。

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