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第28話 壊してしまうかもしれない
加賀谷さんは指を曲げて、内壁のその辺りを引っかけるようにしてくる。
「だめです……あ」
「素直になれよ。もっと気持ちよくなるから」
首を振っていると、抽挿は一層激しくなる。
「いや、いや――あっ!」
泡で滑り、躯をしたたかに打ちつけた。
「我慢していたら怪我しちゃうよ。ほら、もっとお尻をこっちに見せて」
腹部を下から支えるようにして、加賀谷さんは私の腰を高く上げた。同時に指が深いところまで進入してくる。
息が詰まるのに腰の奥から蕩けそうなほどの快感が迸る。
「ん、ん」
「晴之の入り口、潤んでいい色に染まっているよ」
「いや……」
そんな卑猥な言葉は言わないでくれ。されるだけでも抱えきれないほどの興奮が沸き起こるのに。
深く、乱暴に加賀谷さんの指が入ってくると、私の内壁はきつく締まる。
指を増やされても、窄まりは嬉々として迎え入れてしまう。渇いた喉を潤すために飢えのままに嚥下しているみたいだった。
「ああ、苦しいのに……なんで、入るんだろう……」
「もっとしてほしいからだよ。ほら、見てみろ」
加賀谷さんは手を伸ばして、私の目の前にある鏡を擦った。曇りが取れてふたりの顔が浮かぶ。
私の頬と唇は、熟れた果肉のように艶めいていた。瞳に力はなく情欲の色が滲んでいる。与えられた劣情の毒に冒されている顔だった。
こんなに感じている顔をしているなんて思わなかった。
乱暴なことをされていると思ったのに、私の躯は全くいやがっていないのか。
鏡越しに加賀谷さんと目が合った。表情はわからなかったが、赤く染まる頬と白い歯が見えた。
「本当はよすぎて戸惑っているだけなんだ。自分から腰を振ってごらん。苦しいのがなくなるよ」
「う、ん……」
揺さぶられながら、私は頷いた。加賀谷さんに尻を突き出して腰を動かした。
その途端、中が収縮し痙攣し始める。私が身を任せるのを待っていたかのような動きだった。意識せずとも、私は加賀谷さんの指を奥へと誘ってしまう。
「はあ、あ、あ」
加賀谷さんは私が感じるポイントを的確に突いてくる。リズミカルに動かされると、悦楽の波が収まらない。
初めは前へ後ろへと遠慮がちに腿を動かしていた。
だが、それでも飽き足りないので、私は下半身全体を大きくくねらせた。加賀谷さんの手の動きに合わせると、銜えた箇所が更にきつく締まった。
「もう、扱かなくてもいいな。尻を弄るだけで、とろとろになっている」
「ん、おかしい……あ、こんなの変だ……」
ただ、指を入っただけなのにどうして気持ちいいんだろう。
「変じゃないよ。ほら、出せよ」
私の奥に指を突き刺す。同時に欲望の先端を弄る。
「ああ、うっ……」
痛みと、快感に、私は泣きながら射精した。
放出とともに窄まりがきつく閉じる。吸い上げるように、加賀谷さんの指を締めつけてしまう。思いがけない肌の動きに、私自身が驚いた。
小刻みに震える私の躯を、加賀谷さんは更に蹂躙していく。敏感になった内壁を、強く擦っている。
「あ……あ――」
首を振りながら、私は悶えた。吐精したというのに、愉楽の波が未だ押し寄せてくる。
「感じやすいって罪だな。見ている奴をその気にさせるんだから」
「ん――」
「だめだ……とまんねえ」
指を抜き、荒い呼吸をする私を仰向けにする。熱に浮かされたような、色気のある顔で私を見下ろしている。
彼の喉仏が動いたような気がした。
「本当に、壊してしまうかもしれないな……」
いいです、と言って、私は頷いた。
「お願い、来て」
腕を伸ばした。指を絡めて、くちづけを交わした。舌で応えたいのに、昂ぶってしまってうまくできない。
私は両膝を立てて、できるだけ足を広げた。
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