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第34話 ピロートーク1

加賀谷さんは私の躯と髪を洗ってくれた。私も彼にしてあげたけれど、手に力が入らなくてしっかり洗うことはできなかった。 ベッドに入っても、気持ちは昂ぶっていた。 恍惚とした余韻が躯に残っていて、火照りが冷めない。服なんか着ていられなかった。眼鏡もかけていない。 ほとんど話さず、ふたりで寝そべった。 私は腕枕をされている。 加賀谷さんの腕はとても硬い。しっかりとした筋肉があった。 私はシーツを撫でた。私の部屋と同じ白なのに、こっちの方がさらさらしている。たったそれだけの違いなのに、加賀谷さんの寝室にいると実感した。 加賀谷さんは、私の背中をずっとさすっている。 目が合うと、穏やかなまなざしで見つめ返してくる。 「……ごめんなさい」 私は目を逸らして、毛布を頭まで被った。加賀谷さんの顔を見ると、先ほどの行為を思い出す。今も躯をつなげているような感じがした。 「顔を見せてごらん、晴之」 「いやです」 「恥ずかしがってくれるならうれしいよ。満足してくれたっていうことだからさ」 「加賀谷さん。お願いだから、それ以上言わないで……」 初めての私にとっては、充分すぎるほどの激しさだった。 加賀谷さんは、毛布ごと私を抱きしめてくる。 「なんでまた名字で呼ぶんだ?」 「さっきのことを思い出すからです」 ひとりでしているときに散々名前で呼んでいた。だから、寿さんと言うと、すぐに自分がしてきた淫らなことが浮かんだ。 今では、抱かれたことまで思い起こしてしまう。言おうとすれば、喉が渇いて頬が熱くなって、躯が発火したようになる。 「ほら、言ってごらん。寿さんって。言わないといたずらするよ」 毛布の上から、加賀谷さんは私の躯をまさぐった。 「もう、何も怖くありません」 「強がっていると狼に食べられるぞ、ほら!」 いきなり、毛布をめくられた。 悲鳴を上げて私は逃げた。すぐに捕まえられる。 「意地悪な恋人を持ったのは不運だな」 内腿、脇腹を撫でられた。笑いながら、私は悶えた。 「やめて、くすぐったい、ああ」 「もう、晴之の感じるところは全部わかっているんだよ」 「やめて、あ……んっ」 「色っぽい声出しやがって。ほんと、そそるなあ」 どちらかともなく息を吐いた。見つめ合うだけで、互いに笑みが零れた。 「大人になっちゃったなあ、晴之」 しっかりと私を抱きしめ、加賀谷さんはささやいた。 「はい。……加賀谷さんの言った通りでした」 加賀谷さんの手を取ると、私は自分の唇に押し当てた。 「昨日よりも、加賀谷さんの手はあったかいです。こうするだけで、あなたがしてくれたことをみんな思い出せるんです」 この手がしてくれたことを、私はずっと忘れない。 「俺は、ここで晴之のことを思い出すだろうな」 加賀谷さんは、私の手を掴むと自分の股間へ導いた。 「触ってごらん。怖くないだろ」 「うん」 私は加賀谷さんの内腿を撫でた。あえて肝心なところには指を伸ばさなかった。 「こっちだって」 加賀谷さんは私の手を引っ張った。 「ひと仕事終えたんだから、ここを誉めてくれないか」 「ええ、何言っているんですか!」 私は吹き出した。どうして性的なことなのに、加賀谷さんはこんなにおおらかなんだろう。

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