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第7話

コイツは誰だったか。 思い出せないが、オレを殺したヤツを知っている様子である。報復行為を今更したいとも思わないが、吹聴しているのは腹がたつ。 というか、殺人を犯して周りに言い触らすというのは、余程のサイコ野郎だな。 「おい、ソイツは誰だ?」 思わず目の前の男に食い気味に問い掛けると、ニヤと笑って情報料は高いぞとか四の五の言い始める。面倒くさいヤツだ。 「いくらだ」 金を出そうとすると、グイとグラシーモに引き寄せられる。 「我が伴侶に馴れ馴れしいぞ。頭が高い」 ヤバい。 痛いヤツと思われる。 グラシーモに制止をかけようとすると、男はグラシーモの威圧に腰を抜かして口から泡を吹き出す。 別の意味でヤバい。 グラシーモのもつ威圧は、普通の人間の精神では耐えられないようだ。オレが無事なのはゾンビだからだろうか。 「人間風情が、我が伴侶にたかろうとするからだ。まあ、良い」 「グラちゃん.........。オレは情報が欲しかったのだけど」 泡を吹いて殆ど意識を失っている男から、オレを殺したやつの話はもう聞けそうにない。 「ふむ。こやつの記憶と思考ならば、我がすべて把握したが。妃は何の情報がほしいのだ」 「あー、そうなの。オレを殺した奴が誰なのか知りたかったんだ」 男にはもう用はないので、家具の専門店に入っていく。 グラシーモに聞けば教えてくれるのであれば、手間も省ける。 「そうか。では、お主を殺した男を殺せばよいか」 背後からグラシーモが、平然とした口調で当たり前のことのように言うので、思わず首を横に振る。 オレは今まで悪いことばかりして生きてきたし、人に恨みを買っていたし、殺されても仕方のない生き方をしてきた。 だからと言って、人を殺そうとかは考えたことがない。 「あ、グラシーモ。お前は人の思考が読めるのか」 思い出したように問い掛けると、グラシーモは頷いた。 それなら、オレが散々渋ってセックスを回避していた言い訳も嘘だと気づいているはずだ。 「そうか。それなら.........いっぱいウソついた」 「ああ。そうだな。だが、卑怯で愚劣で浅はかで、それが可愛らしくて.......。そういうとこ、好きだ」 貶されているとしか思えない言葉に、おそるおそる見上げると、綺麗な顔を意地悪そうに歪めた笑みにオレは魅入られてしまっていた。 流石、魔王様。歪み方が半端ないだろ。

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