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RED 2
「お邪魔しまーす」
君はこれから僕に何を言われるのかも知らずに、笑顔で部屋に入ってくる。
「ありがとね、来てくれて。君に会いたくなっちゃってさ」
「うん。俺もちょうどりっくんに会いたいと思ってたんだよね」
君はたまに、僕のノリに合わせてそういう嬉しい事言ってくれるんだよね。
僕はなんとなく君にアプローチをしてきたつもりなんだけど、気付いてる?
会いたいって言ってるの、君だけなんだよ。
誰にでも言ってるわけじゃないんだよ。
……とは、口には出せず。
「じゃあ、両想いだね、僕たち」
そうだったらいいなという、願いも込めて言ってみた。
君の反応はというと。
「そうだね。あ、そうだ、これお土産」
軽く流されてしまい、ずっこけそうになる。
君は手に持っていたビニール袋からチーズ鱈や柿の種の袋を取り出して、テーブルの上に置き始めた。
まぁいいか、とあまり気にしないようにして、リビングの赤いソファーに座ってもらった。
僕はワインなどを用意して、君の隣に座る。
「はい」
グラスを持って、乾杯をする。
テレビではお笑い芸人が新ネタを披露していた。
二人ともしばらくそれに釘付けだった。
僕は笑う事もせず、ひたすら君の存在を肩越しに感じていた。
「で、話って何」
CMになった所で、君が急に言うもんだから思わず吹き出しそうになる。
え、もう? 早くない?
「あー、あーそれね」
口ごもると、君はじっと僕を見る。
もしかしたら、いい話だと思ってないのかもしれないな。
恥ずかしいからもうちょっと酔ってから言おうと思ってたんだけど……まぁしょうがない。
腹をくくると、行動は早かった。
僕はグラスをローテーブルに置いてから両足を君の方へ向ける。
その行動に驚いたのか、君は眉を潜めた。
「何、りっくんいきなり」
「よく聞いてね。僕、実は君の事が好きなんだ」
い、言った……。
意外とすんなり言えたなぁなんて、自分でも感心してしまう。
何度もイメトレしてきた成果が出たなぁ。
……なんて思ってると、意外な言葉が返ってきた。
「うん、俺も、りっくんの事好きだよ。ありがとね。いつも遊んでくれて」
ん? なんか、軽いなぁ。
ま、まさか……!
僕は慌てて首を横に振る。
「ち、 違う、そうじゃなくて、その、友達としての好きじゃなくて、女の子に恋するのと同じように君を好きなんだ」
「……えっ?」
「分かる? 意味」
「……えっ、マジで?!」
ようやく理解したみたい。
君は目を見開いたまま固まってしまった。
CM明け、また違う芸人がネタを披露している。アハハハ……と甲高い笑い声だけが虚しく部屋に響く。
ま、そうだよね、普通男から好きって言われる事なんて、そうそうないもんね……
僕は目を潤ませながら(そうしてるつもり)、君を見つめる。ちょっとタレ目のその綺麗な目が好きだ。照れているのか、君の顔はほんのり赤くなっていた。
「は、話って、この事……」
君は口をぽかんと開けて僕を見る。
うん、と頷いて
「君の事を一目見た時から、僕は君のこと忘れた事は無かったよ。会えない日が続くと、君を想いながら眠って、次に会える日を待ちわびていたんだ。ずっと、君をそういう目で見ていた」
一気にそう言うと、顔から火が出そうだった。
あー、恥ずかしい。
僕、苦手なんだよね。人に自分の気持ち伝えるの。
君はようやく、口を開いた。
「嘘つくなよ」
は?
今なんて?
今度は僕の目が点になる番だった。
「だっだって、俺、男だし! りっくん、この間みんなの前で、胸が大きめでセクシーな人がタイプですって言ってたじゃん! なんで、俺の事好きなんて言うの? ドッキリ?!」
あー、あの時聞かれていたのか。
飲み会の席で一人ずつ発表しなくちゃならなかったやつ。
「それはほら、みんなの前だったから。本当は君が好きなんだよ」
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