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RED 3
「ほ、本当に? そっか、りっくん、本当に俺の事……」
あれ?
なんか、身体熱くない?
君の腕を掴んでみたら、そこからじんわり熱が伝わってくるんですけど。
「で、君は?」
「……な、何が?」
「だから、君は僕の事、どう思ってるの?」
こうやって誘えば家に来てくれるあたり、少なからず嫌われてはいないだろう。まぁ恋愛の意味での好きかどうかは分からないけど。
「嫌い……」
ぽつりと呟かれた言葉に「は?」と思わず返してしまう。
まさかこう言われるとは予想していなかったので、かなり狼狽する。
「えっ、き、嫌いなの? 嘘、じゃあなんで来たの今日?」
僕はもう片方の腕も掴んで君をしっかりと真正面から見る。
さっきとは比べものにならないくらい、耳まで真っ赤にしている君がそこにいた。
あれ、なんだかこの顔は……
「……うっさいなぁ、嫌いなもんは嫌いなのっ!」
ふぅん。そういう事ね。
そんな天邪鬼な君を見ると、僕いじめたくなっちゃうなぁ。
僕が何も言わないで見つめ続けていると、君は言う。
「何っ?」
「顔真っ赤だけど」
「!!」
君は顔を咄嗟に手の平で隠す。
か、かわいい……乙女か。
僕はもう一息とばかりに、君をソファーに優しく押し倒した。
「ちょっ、ちょっとりっくん!」
君の茶髪の長めのストレートの髪が赤いソファの上に綺麗に広がる。
あ、やばい。このまま襲っちゃいそう。
いや、止めとこう。嫌われたくないし。
僕は細い手首を掴んで逃げられないように身体を押し付ける。もちろん、潰れない程度に。
「ちょっ、何してんの? はっ、離して……」
君は僕の下でジタバタするけど、僕はビクともしない。
「だって、素直じゃないんだもん。好きなんでしょう? 僕の事」
耳元に口を近づけて、低く甘い声で囁く。
もう、落ちてるんじゃないの?
早く言って。僕の欲しい言葉を。
「好きじゃない……!」
うーん、まだか。さすがに心開くと思ったんだけどな。
「そう、じゃあ、キスさせて?」
「はっ? な、何言ってんの? 酔ってんの?」
「酔ってないよ。あ、君に酔ってるかな」
「い、いや、そういうのいいから」
僕たちはすごい体勢で会話してるなと思うと笑えてきた。
「嫌だったら逃げてよ。でも、ここから逃げたら二度と友達には戻れないよ。僕はずっとここで君のことを想いながら、虚しく死んでしまうんだろうな」
なんて、冗談だけど。
でも、半分本気。
君のいない世界を生きなくちゃならないのなら、会えないんだったら、死んじゃった方がマシかも、って思えちゃうくらい君に恋してる。
「そんな事、言わないでよ……」
あれ? もしかして泣いてる?
目が潤んできてるけど。
ちょっといじめすぎちゃったかな。
でも君は、ここから逃げる素振りは一切見せない。さっきよりも手首を掴んでる手は緩ませてあるけど、全く抵抗してこない。
僕はもう一度、優しく問いかけた。
「もう一度訊くよ。僕の事、好き?」
二人の瞳が重なり合う。君の眉はハの字に下がり、頬は赤く染まる。
長い長い沈黙の後、ようやく君の言葉がぽつりと部屋に響いた。
「嫌い……」
そう言って君は観念したように瞳を閉じる。
「嘘つき」
僕はゆっくりと顔を近づけて、君と甘い甘い口付けを交わした。
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