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「あれ?深李(ふかい)さん居ないんですか?」 辺りを見渡すが、探している人物の姿が見当たらない。 「深李なら、鳴澤家(なるさわけ)です…」 「へっ、鳴澤家?」 「あぁ!ご存知なかったですね。深李は…この度、鳴澤家の若君の花嫁になるんですよ」 な、ななな何ですと!!? それは、貴重な情報。深李さんが鳴澤家の若君の花嫁になるなんて…。 春にしか足を運ばないから、志龍様のご息子である龍華 深李さんと顔を合わすのは一年に一回。 それでも僕と深李さんは“読み友”と言っても過言ではない仲慎ましい関係を築いている。彼は年齢の割には若く見えてしまい、身分証明書と友達だけど…声は、声は…素晴らしく“エロボイス”の持ち主。 僕は最初、あのエロボイスを聞いて全身に戦慄が走った。

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