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『織家には性格が歪んだ御曹司が居る』とか『超絶絶品と言われているらしい』等と聞かされたら、どんな御曹司だ?って、心の中で疑問視されていた。実際に瞳に入れた人物は良い性格をしていそうな美しい美貌をちらつかせている野郎だった。
深李様以外の男性に興味を持つ事は無かった。これから先も無いものだと思っていた。
当の本人は全く…無意識、無自覚、天然ですから私の気持ちなど気付く由もある筈がありません。
現に今は、鳴澤家の若君と恋愛レッスン中ですし…。
私が入る隙間すら用意されてない状態。
まぁ、一人の男性を何時までも未練がましく想っていては駄目だと自負はしています。
そんな私の心を透かした様に志龍様は彼を紹介したのでしょう。経験豊富な匂いを漂わせ、歩いており、男性同士の恋愛に偏見を持たない彼を。
何と言うか…。
踊らされても良い自分が今、居る。
灰皿に短くなった煙草の吸殻を捨てた。
窓の縁に頭を預け、微笑した。
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