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【克樹side】 喰えない男が興味を抱いた相手は男性だと言える。深李さんに想いを寄せていた従兄弟だもんな。 今更ながら女性を恋愛の枠には入れないだろうと思っていたけど…。 御曹司…。 それも彼より、上の立場にある人物だろう。相手が気になる所だが、御曹司なら…その内解るか。 「あぁ、先ほど仰っていた意味…解らないでもないですよ。気に入った物は懐に収めたくなる習性を持っているのが人間ですしね。玩具と見なしたら、意地でも群がる者を蹴り落としてでも、手に入れたくなるものです。幼い子供がよくやる行為と同じですね…」 懐に収め、周囲を近付けさせない。 威嚇するかの如く、ソレを縛るのも一手だろう。彼の場合なら…。 「…」 うん、絶対に…。 ――…縛るな。 相手に視線を向けて、俺は悠長な考えが浮かんだ。 心広そうで広くない四十代後半の紳士だと思っている。本人見るなり、一瞬で見抜くタイプである“例の相手”に拍手喝采したい。

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