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3ー8
自分でも馬鹿だと解ってはいる。たかが、二十ハ歳の男に興味を抱いただけで、欲しいという思いが強いのは可笑しいと。
笑える話だと重々承知…。
折れるか折れないかなら…折るのが最適だと自分に言い聞かせている事態、無謀な行いだと思います。
勝負事に、譲歩してやる気はない。抱けるなら…幾らでも手段を選ばないさ。
「ふー…何時もの余裕綽々な表情の方がマシなんですがね。改められると、逆に気持ち悪くって。腹の中を調べたくなります…」
「…私も同感です」
「けれど、頭を下げられたからには無視するのも気分悪くなるので…。良いですよ…」
「えっ」
私は大きく目を開いた。
「それだけ…貴方も必死なんでしょう?相手が何方かは存じ上げませんけど、自分の懐に収めたいのでしょう。俺が協力する事で望むモノが手に入るなら…それは…嬉しいですし…」
「――…あ、有り難うございます」
『お願い』は断られるんじゃないかと思っていたから、内心驚きが隠せない。
鳴澤家の若君がすんなり承諾してくれるとは。
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