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4ー4
――龍華家・葵の間
葵の間は戦慄が走る戦場と化していた。龍華家の“龍”である龍華 深李の手によって。 屋敷内に居た使用人を含め、従兄弟の 海凰と深李の将来のお婿、鳴澤 克樹は魂を奪われた様な震撼さを感じていた。
何が深李を刺激したのか解らないが、ごく稀に起こす恐怖を使用人達は萎縮してしまう。がたがたと震えながら、次来る恐怖を考えただけで慄然してしまうのだ。
テーブルの下に身を隠している克樹はぶるぶると震えながら同じく横にいる海凰へ視線をやった。
「な、ななな…何なんですか、アレは!!!」
「…龍華家七大不思議の一つです」
「普段の深李さんは、天然丸出しで…愛らしいんですよ?たまに…興味を示す物にギョッとさせられますが…」
小さな声音で克樹は吐いた。
海凰も知っている。従兄弟は興味を示した物は、とことん追求したくなる性格で自分を含め、親族が魂消(たまげ)るくらいだ。
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