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 しかも、知らぬ間に体が熱を帯びていて、ここに来てから始めて芽生えたその感覚に、戸惑いながらも貴司はそっと自分の股間へと指を伸ばす。 「なん……で?」  布地の上から触れてみても、すっかり形を変えたそれに、貴司は驚き目を見開く。  とりあえず、落ち着こうとして何度も息を吸い込むけれど、体の火照りは増す一方で、ならばどうにか起き上がろうと体を横へと向けた途端、ペニスがシーツへ軽く擦れ、貴司の意思を無視する形で体は快感を読み取った。 「うっ……ふぅっ……」  久しぶりの感覚に、小さな喘ぎが漏れてしまう。  我慢できずに指を忍ばせてペニスを直に掴んだ時、貴司の抑えは既に効かなくなっていた。こんな状況でこんなこと、しちゃいけないと分かっているけど、体の方は久々の刺激を悦ぶように打ち震える。 「あっ……あぁ」  無意識に、片手でペニスを扱き始めた貴司の口から喘ぎが漏れ、鼻に掛かった自分の声に、更に体が反応した。まるで薬を使われたように徐々に意識が削がれていく。  ――もっと……もっと……。  本能の命じるままにパジャマのズボンをずり下ろし、上衣の裾をまくり上げてから、硬くしこった胸の尖りへと貴司は指を滑らせた。 「んっ……ふぅぅん……」  乳頭を軽く撫でただけで、艶を帯びた声が出る。止めることができない右手はペニスを扱き続けていて、溢れ出した透明な液がクチャクチャと淫靡な音を立てた。  ――熱い……体が。  異常なほどの昂りに、放出を求め尿道口がヒクついているのが自分で分かる。早く楽になりたくて、腰を揺らして乳輪ごと乳首を指で摘み上げると、待ち望んでいた快感が脳天から爪先へと電流のように駆け抜けた。 「やっ……あうぅっ……んぅ」  薄いシーツに包まれている貴司の体が、ヒクリヒクリと脈を打つ。 「セイ……セイ」  まるで正気を失ったように貴司は虚ろに宙を見つめ、無意識の内に聖一の名を何度も何度も呼んでいた。 「セ……イ」  そのことに、気づく余裕は貴司の中にはまるでなく、自分の置かれた状態さえも、頭の中が白く濁って分からなくなってしまっている。  吐き出す物を吐き出して、墜ちるように眠った貴司は、次の朝……後悔の波に頭を抱える事となった。

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