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どれだけの嘘を吐かれているのか分からない。それが無性に悲しくて、唇をキュッと噛み締めると、困ったように眉をしかめた聖一が、突然貴司の胸の辺りへ指をのばして触れてきた。
「触るな」
聖一の意図に気づいた貴司は慌てて体を隠そうとするが、ピアスへと彼が触れるほうが一瞬だけ速かった。
「どうして? 貴司は俺のだろう?」
指でリングを弄びながら聖一が訊いてくる。
「俺はセイの所有物じゃない。分かってるだろ? こんなことをしても、何にもならないって」
聖一の手首を掴んで貴司がそう言葉を返すと、笑みを浮かべていた表情が拗ねたみたいに歪められた。
「随分元気になったみたいだね。アイツの夢見て、アイツに会いたくなっちゃった? 貴司は俺だけ見てればいい。そんなの、許さない」
「違う、アユとは本当に何もっ……セイ!」
反論している途中で貴司は彼の肩へと担ぎ上げられ、バスルームまで運ばれてしまう。途中何度も「降ろせ」と叫び、背中を叩いてみたけれど、弱った体を消耗させる結果にしかならなかった。
「……何を?」
「何って、シャワーだよ。何日も寝てたから、体が気持ち悪いでだろ?」
「だったら……一人で」
「ダーメ。お仕置きするって言ったよね。大丈夫、貴司がちゃんと反省したら、直ぐにやめてあげるから」
バスルームのタイルの上へと貴司の体をそっと降ろし、ニコリと笑みを浮かべた聖一が細い鎖をチラつかせる。
「っ!」
見覚えのある銀色に、怯えた貴司は後退るけれど、少しも体が動かぬうちに、履いているパジャマの上からペニスをギュッと踏みつけられた。
「いっ!」
痛みに体が竦みあがる。思わず股間へ伸ばした手は、聖一によって掴まれて、まるで万歳のような格好で上へと引き上げられてしまう。
「貴司が抵抗するなら……縛るよ」
せめてもの抵抗のために睨みつけた視線の先で、笑みを消した聖一が抑揚もなく告げてきた。
「やめ……ろ」
圧迫されるペニスの痛みに体はすでに限界で、更に物騒な彼の言葉に、動揺した貴司は視線を彷徨わせてから下を向く。
「俺の言うこと、聞いてくれる?」
質問のように聞こえる言葉は、否とは言えない命令だ。逃げることのできない自分は従うしか道がない。逆らえば……さらに痛い目にあうだけだ。
「立って」
沈黙を了承だと理解したからなのだろう。手首を離しペニスの上から足を避けた聖一が、足首へと嵌められていた枷を外して命じてくる。それに従い立った貴司は足が細かく震えていた。
なぜ、こんなにも惨めな思いをしなければならないのか? こんな仕打ちを受ける理由など自分にはない筈なのに。
そんなことを考えながらも、左右のピアスへ鎖を通す聖一のことを止められない。
「今日は、掴まってもいいよ」
タオルを掛けるためのポールへと華奢な体を押さえ込まれ、胸のピアスに通されている鎖をそこへと繋がれれば、突っ張るような痛みを感じて動くことすら侭ならなくなる。前回これをされた時には両手を後ろで縛られたから、身じろぐ都度、引かれる乳首に貴司はかなり苦しんだ。
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