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 掴まることができるのなら、今回は少しマシなのかもしれない……なんて考えてしまう自分の思考が、情けなくて堪らない。  そのまま、パジャマを全て脱がされて、履いていたのが成人用の紙パンツだと分かった時、言いようのない罪悪感に軽い吐き気を催した。意識をなくしていた間、下の世話を誰がしたかを考えるだけで泣きたくなる。 「痛くしないから……足開いて」  ふいに、背後から響いた声に、操られるよう脚を開くと、蛇口を捻る音と同時に体へ飛沫が降り注ぎ、一通りそれを浴びたところで、ボディーソープを泡立てた彼が、その掌を貴司の体へと丁寧に這わせてきた。敏感な箇所に触れる度、無理矢理に高められた体は解放を求め疼くけれども、それを口に出すこともできず聖一もそれを許さない。 「気持ちいい?」  勃ち上がったペニスの付け根を指で押さえた聖一が、甘い声音で尋ねてくるのに首をゆるゆる横へと振ると、チッっと舌打ちの音がした後、アナルへと、ツプリと指が突き立てられた。 「ああっ……やめっ!」  ソープのぬめりを借りているから痛みは殆ど感じない。むしろ悦いところを的確に押され、知らずに媚びた声がでた。 「やめっ……ひっ……!」  快感に腰が揺れるたび、繋がれている乳首が引かれてそこから新たな疼きが生まれ、ポールを握る指先へギュッと力を込めて耐えるけど……許してくれない聖一の指に前立腺を何度も押され、頭の中が白くなる。 「貴司、ごめんなさいは?」  頃合いを見計らったかのように、耳たぶを甘噛みしながら聖一がそう囁いた。 「いや……だ」  ――俺は、何も悪いことなんてしてない。  僅かな理性を取り戻し、貴司が拒絶の言葉を紡ぐと、耳を噛まれて体が引かれた。 「ああぅ……やぁっ!」  胸の尖りを襲う痛みに体がビクビク上下する。いつも理不尽な仕打ちを受け、最後には訳が分からなくなって謝ってしまう貴司だが、それが聖一を更に増長させる結果になっていることが、頭の中では分かっていた。 「なんで……反省出来ないの?」  抑え付けられたペニスの先へと爪をグリッと立てられて、負けそうになってしまうけれど、理性を何とか保つために唇を強く噛み締める。暴力で思い通りにしようとするなんて、話もろくにさせて貰えず、対等に語り合うこともできないなんて。  ――こんなの、好きな人間にする事じゃ……。 「……れじゃ……ない」  掠れた小さな声が出た。 「何?」  謝罪だと思ったのか、そう尋ねてくる聖一の声は心なしか甘さを帯びていたけれど。 「お前が……必要としてるのは……俺……じゃない」  絞り出した貴司の言葉に、次の瞬間空気がピシリと凍りつく。 「思い通りにならないから、執着してる……だけ」  御曹司だと聞いた時にはあまりピンとはこなかったが、さきほど二人の大人相手に当然のように命令している彼の姿を目の当たりにして、はっきりと認識した。  望めばなんでも叶う環境。否を唱える人間は、きっと彼の周りにはいない。だから、思いのままにならない貴司にここまで執着するのだろう。

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