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「俺は……モノでも動物でも、ない」  いつも告げているその言葉に、聖一はきっと今回も聞く耳を持ってはくれないだろう。だけど、言わずにはいられなかった。 「……何、言ってるの? 貴司は俺の物だよ。そう約束したよね? なのに、どうして解らないの?」  逃げるから、嘘を吐くから悪いのだと彼は言う。いつも同じ繰り返しで、だから貴司は黙り込む。  悲しかった。  分かって貰えないことが。  彼を理解できないことが。 「アイツに何を吹き込まれたのか知らないけど……俺は、貴司を手放すつもりはない。だって、俺が一番貴司を想ってるから」 「……っうぅ!」  体が大きく反応したのは、前立腺を弄ぶ指が再び動いたせいだろうか? それとも、聖一の放った言葉が胸に刺さったせいなのか?  戸惑う貴司に構うことなく指をズルリと引き抜いてから、華奢な細腰を抱いた聖一がアナルへペニスを宛てがった。 「ふっ……くぅっ」  爪先が僅かに浮き、不安定な格好に苦悶の声が漏れる。鎖に乳首が引かれぬよう、ポールに肘まで乗せた貴司が、握る指先へ力を込めて小刻みに震えていると、間髪入れずに彼の切っ先が後孔の中へ入ってきた。 「やっ、あっ……あぁっ!」  気持ちとは裏腹に、待ち望んでいた体はそれを貪欲に飲み込んでいき、抑え込まれたペニスの先で尿道口が開閉する。 「気持ち悦いよね。押さえてるのに、こんなに漏らしちゃってる」 「やめっ……あ…うぅ……」  尿道口へと爪を立てられ貴司の体に鳥肌が立つ。 「止めないよ、ごめんなさいって言えるまで」 「っ! ひっ……ああっ!」  そう耳元へ告げてきた彼に、次の瞬間いきなり激しく突き上げられ……悲鳴じみた嬌声が、貴司の口から押し出された。  そこからは、いつものように散々に嬲られて――。  揺さぶられるたび乳首が疼き、堰止められたペニスが辛くて、責め苦の中……貴司は何度も謝罪しそうになるけれど、それではいつもと同じことだと歯を食いしばって必死に耐えた。  ――なんで?  心がまるで伝わらない。自分のことを好きだと囁く彼の声を聞くたびに、胸が切なさで苦しくなるのは、どうしても断てない想いが貴司の中にあるからだ。だけど、だからといってこんなやり方を受け入れるなんて出来やしない。  それを認めてしまったら、聖一は更に道を逸れてしまうことになる。  どうすれば伝わるのか? 今まで散々考えたけど、結局は、彼の前から消えてしまうのが一番いいと決意した筈だった。それなのに――。

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