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epilogue
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「セイ、起きて」
朝食の準備をしてから寝室のドアを開けて告げると、パチリと瞼を開いた彼が、ベッドの上へと起き上がる。本当は……貴司が起きる時間には既に目覚めていると知っているが、この時間が大切だから敢えて気づかぬ振りをしていた。
「おはよう」
薄い笑みを浮かべた彼が、こちらに向かって手招きをする。
あの日……自分の描いた聖一の絵を見せてから、少しずつだが彼は貴司に心を許してくれるようになり、最初こそ、一時たりとも離れることができなかったが、最近になって突然彼は二人を繋ぐ鎖を解いた。
「明日から学校だろ? もう少し早く起きないとな」
ベッド脇まで足を進め、軽く屈んで声をかけると、こちらを仰いだ聖一へ……ただ触れるだけのキスを落とす。
「貴司がちゃんと、起こしてくれるでしょ?」
そう答える聖一は、無表情に見えはするけれど、纏う雰囲気が違っているのは勘違いではないはずだ。
ほんの少しの時間だけれど離して貰えるようになり、その行動からきっと彼は、自分のことを信じようとしているのだと感じ取れて、貴司は嬉しい気持ちになる。
「ああ、起こすよ」
笑みを浮かべてそう返すと、聖一の腕が伸びてきて……膝の上へと跨がるように貴司の身体を引き寄せてから、ベッドヘッドに置かれた小さな箱を手に取りそれを開いた。
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